日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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65 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 西 大輔, 山口 博之, 宮崎 綾子, 恒光 裕
    原稿種別: 原著
    2012 年 65 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    2010年2月,繁殖母豚60頭飼養規模の一貫経営農場において,約40日齢の子豚42頭中6頭に発育不良が確認され, 4日後に6頭中2頭が神経症状を呈して起立不能となった.起立不能豚2頭と発育不良豚1頭の計3頭について病性鑑定を行った結果,非化膿性脳炎がすべてに認められ,うち2頭の脳病変部から豚テシオウイルス-1(PTV-1)遺伝子が検出され,CPK細胞によりPTV-1が分離された.また,3頭の扁桃,体表及び腸間膜リンパ節から豚サーコウイルス2 型(PCV2)抗原が検出された.一方,直腸内容からは豚エンテロウイルスB(PEV-B)とPTV-1が分離された.これらの結果から,本症例は,PCV2を発症要因とした豚エンテロウイルス性脳脊髄炎(豚テシオウイルス性脳脊髄炎)と考えられた.本症例で分離されたPTV-1及びPEV-Bを使用し,佐賀県内49農場408頭の豚血清について中和試験を実施したところ,PTV-1,PEV-B ともに佐賀県内の養豚場において広く浸潤していることが確認された.
  • 尾形 透, 佐々木 淳, 倉持 好, 川崎 武志, 御領 政信
    原稿種別: 原著
    2012 年 65 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    1990年代後半に封入体肝炎(IBH)の原因として分離された3 株のトリアデノウイルス(AAV)と2009年に分離され,卵黄囊上皮細胞に親和性のあることが確認された1AAV株を,SPF初生鶏雛の大腿部に筋肉内接種した.全接種群で接種後3 ~7日に多くの雛が死亡した.組織学的には全接種群で,従来から認められてきた肝細胞,膵臓腺房細胞及び十二指腸粘膜上皮細胞に加えて,卵黄囊上皮細胞に好塩基性核内封入体の形成が認められた.以上から,卵黄囊上皮細胞も多くのIBH由来のAAVの標的細胞となることが示唆された.
  • 芝原 友幸, 平澤 康伸, 是枝 輝紀, 壁谷 昌彦, 大山 貴行, 高橋 幸治, 竹馬 工, 本間 裕一, 伊藤 直美, 篠藤 倫子
    原稿種別: 資料
    2012 年 65 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 住吉 浩, 山田 英一, 岡本 芳晴
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    半導体レーザーを使用した機能的端々腸管吻合術を巨大結腸症の猫18例に施した.吻合による漏出,狭窄,出血を含む合併症について,術中・術後の臨床的観察によって検討した.その結果,すべての症例で異常な所見は認められず,良好な回復が得られた.本法は,腸管径の狭い猫に対して安全に実施可能であることが示唆された.
  • 原口 友也, 板本 和仁, 田積 佳和, 谷 健二, 仲澤 宏, 田浦 保穂
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    7歳齢,避妊雌のM ・ダックスフンドが2カ月間にわたる慢性嘔吐・食欲不振を主訴に来院した.症例はX線CT検査,内視鏡検査により「幽門洞肥厚症候群」が疑われた.本症例に対し,試験的に幽門部バルーン拡張術と対症療法を実施したところ,症状が著しく改善した.2カ月後の内視鏡検査で,幽門部粘膜の軽度肥厚が認められたため,2回目のバルーン拡張術を実施した.その1カ月後に他院で実施した試験開腹時術創の化膿が認められたため,縫合糸の除去を目的とした開腹術を実施した.その際の内視鏡検査では幽門粘膜の肥厚は消失しており,開腹下でも幽門周辺に肉眼的な異常所見は認められなかった.現在,術後2年が経過するが症状の再発は無く経過は良好である.幽門部バルーン拡張術は幽門洞肥厚症候群に対して有用な治療法となる可能性が示唆された.
  • 三竹 由佳子, 森 崇, 星野 有希, 伊藤 祐典, 前田 貞俊, 村井 厚子, 酒井 洋樹, 丸尾 幸嗣
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    10歳,雄のシェットランド・シープドッグが吐血,重度貧血を主訴に胃の精査目的のため来院した.血液検査では重度貧血があり,血液生化学検査では低蛋白血症がみられた.腹部X線検査にて胃の不透過性亢進,胃拡張があり,超音波検査にて胃内腔を占拠する実質性の内容物を認めた.虚脱し起立不能で一般状態が悪かったため,輸血を行いながら緊急的に試験開腹を実施した.胃切開により胃の大弯粘膜面に巨大な脳回状腫瘤を確認した.重度貧血の原因がその病変にあると考え,胃の部分切除を行った.病理組織検査において表層粘膜上皮の過形成があり,細胞異型性は認められなかったことから,巨大肥厚性胃炎と診断された.術後,貧血と低蛋白血症は徐々に回復した.犬は術後1年を経過した現在も再発はなく経過良好である.
  • 佐々木 淳, 辻 まりこ, 神志那 弘明, 片山 泰章, 御領 政信
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    痙攣発作や四肢協調運動不全を示した12歳,避妊雌の雑種猫がX線CT検査で脳腫瘍と診断され,腫瘤が外科的に摘出された.腫瘤は肉眼的に白色充実性を呈し,周囲組織とは比較的境界明瞭であった.病理組織学的に腫瘤は組織球に類似した多形性を示す腫瘍細胞の充実性増殖により構成され,異様な大型異型核と豊富な好酸性細胞質を有する巨細胞がしばしば認められた.リンパ球,形質細胞も散在性に浸潤していた.腫瘍細胞は免疫組織化学的にVimentin,HLA-DR,Lysozyme,Iba1 などに陽性を示し,電顕的には細胞質内に単位膜を有する均質な高電子密度の球形構造物が多数認められたことから,大脳に発生した組織球性肉腫と診断された.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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