抄録
アカバネ病の診断では,体形異常を示す子牛や神経症状を示す牛からのウイルス分離,ウイルス遺伝子及び抗原の検出が困難なことが多い.2011年9月から2012年1月に山口県において本病が10例発生し,これら野外材料を用いてリアルタイムRT-PCR(rRT-PCR)の有用性を検討した.その結果,神経症状発症牛や死産胎子の脳幹部,脊髄及び小脳からアカバネウイルス(AKAV)遺伝子を検出することが可能であった.AKAV遺伝子検出結果と病理検査結果を比較したところ,遺伝子量と非化膿性脳脊髄炎の程度及び免疫組織化学的染色の強度,非化膿性脳脊髄炎の程度と免疫組織化学的染色の強度間に正の相関がみられた.中枢神経系を材料としたrRT-PCRは,従来の検査法より感度が高く,より的確なアカバネ病の診断に有用であることが示唆された.