2016 年 69 巻 1 号 p. 41-45
11歳,未去勢雄のマルチーズが腹腔内の巨大囊胞及び左副腎腫大を主訴として大阪府立大学獣医臨床センターに来院した.初診時一般身体検査では,腹囲膨満及び努力性呼吸を認めた.腹部超音波検査では,腫大した左副腎に連続する巨大な囊胞様腫瘤を認めた.第7病日,CT検査及び左副腎並びに囊胞状腫瘤の摘出を実施した.CT検査にて,腫大した左副腎(2.0×2.5cm)から突出する巨大な囊胞を認め,右副腎(0.2×0.3cm)の萎縮も確認した.囊胞状腫瘤は副腎髄質由来神経芽細胞腫,左副腎は副腎皮質腺癌と診断された.犬での副腎髄質由来の神経芽細胞腫の報告は少なく,本症例は副腎皮質腺癌が併発した非常にまれな症例と考えられた.