2017 年 70 巻 5 号 p. 308-312
母豚160頭を飼養する一貫生産農場において,下痢の集団発生が周期的に認められた.発症豚は1〜3日齢に限局しており,発生周期は2〜4週間程度であった.すべての発症豚に対症療法を施したところ,3〜5日で全例が回復し,死亡率の上昇や出荷日齢の遅れは認められなかった.発症豚の剖検では小腸壁の菲薄化,病理組織学的検査では小腸絨毛の萎縮及び粘膜上皮細胞の空胞変性が観察された.また,病原の検索ではC群ロタウイルス(RVC)の特異遺伝子が発症豚のみから検出されたことから,本症例へのRVCの関与が示唆された.