2018 年 71 巻 10 号 p. 581-585
展示飼育されている臨床的に健康な雌雄成熟アカキツネの非発情期におけるバイタルサインと,臨床検査値の基準範囲を調べた.採血は,無麻酔下で外側伏在静脈より行った.すべての項目で,雌雄差は認められなかった.犬の基準範囲に比べ,体温は高値,赤血球数と好酸球数,血清グルコース(Glu),アルブミン(Alb)及び尿素窒素濃度(UN)は高値,逆に血清ブチリルコリンエステラーゼ活性は低値を示した.これら所見は夏毛から冬毛への換毛期の影響(体温上昇),小球性赤血球(赤血球恒数MCVとMCHの低値を伴う赤血球数の高値),肉食中心の食餌(Glu,Alb及びUN濃度の高値)によると推測された.以上のアカキツネの基準範囲は,獣医療や研究現場において健康状態の把握,疾患の類症鑑別や治療あるいは予防に利用できると考えられた.