2020 年 73 巻 3 号 p. 133-139
岡山県で2016年10月~2017年4月に発生した,ピートンウイルス(Peaton virus:PEAV)感染の関与が疑われた牛異常産8例の病態を報告する.8例のうち1例は,肉眼的に関節拘縮や脊椎弯曲がない流産胎子であり,残りの7例の子牛には,体形異常が観察された.免疫組織化学的検索では,流産例を含む3例の大脳にPEAV抗原が検出され,さらに流産例を含む2例の脳にはPEAV遺伝子も検出された.また,7例の体形異常子には,比較的高い力価の抗PEAV中和抗体が検出された.さらに,岡山県内の2016年の初越夏牛で,PEAVに対する抗体陽転が9~11月に認められた.これまで,PEAV感染に関連した新生子牛の先天的体形異常については,過去に国内でよく知られていたが,流産の病態に関する情報はほとんどない.本論文は,PEAV感染が関与したと考えられる流産に関する初めての報告である.