日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
ホルスタイン種育成牛におけるXY型真性半陰陽の1例
鈴木 圭住吉 俊亮渡辺 哲也近藤 広孝渋谷 久岩佐 真宏大滝 忠利堀北 哲也
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2020 年 73 巻 3 号 p. 140-145

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抄録

間性が疑われるとの主訴で日本大学付属動物病院に来院したホルスタイン種育成牛について,雌雄判別を目的とした検査を行った.染色体検査では,95細胞のすべてがXY型であった.ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)負荷試験における血漿中テストステロン(T)濃度は低値を示した.抗ミューラー管ホルモン(AMH)濃度は0.02ng/ml であった.Sex-determining region Y(Sry)遺伝子検査は陽性で,病理解剖検査では卵巣,子宮,子宮頸管及び腟が認められ,腟とこれに連続する外陰部が肛門より36cm下方に位置し,膀胱から連続した尿道は皮下を走行し外陰部に開口していた.左側卵巣様構造物には,小型の卵胞様構造物及び精細管様構造が散在し,同右側は左側と同様の所見に加えて複数の大型囊胞状構造物が認められた.以上より,本症例はXY/femaleの真性半陰陽と確定診断した.本症例のように,T及びAMH濃度が低くhCG負荷試験に反応しない場合には,機能的な精巣の存在は否定でき,無処置で肥育しても肉質が悪化する,雄性が発現し飼養管理が困難となるといった影響はないと考えられる.

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