日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
山形県内と畜場搬入豚のEscherichia albertii 保菌状況及びその疫学的特徴
佐藤 空見子永井 章子小原 準遠藤 千春林 哲也大岡 唯祐瀬戸 順次村上 光一
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 73 巻 5 号 p. 265-273

詳細
抄録

食中毒原因菌Escherichia albertii の豚での保菌状況と分離株の特徴を明らかにするため,2017年及び2018年に山形県内のと畜場搬入豚の保菌調査を行った.525検体の盲腸便を調査し,17検体(3.2%)から37株を分離した.このうち,20分離株(54.1%)がテトラサイクリン等の何らかの抗菌薬に耐性を示した.また,パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)法では,37分離株は6グループに分類された.各グループを代表する6菌株は,ゲノムワイド系統解析により既知の5つの系統群の中のG1群及びG3群(2亜系統群)に分類された.当該3群は,いずれも人由来株を含んだ.本研究により,山形県と近隣県の豚は多様なPFGE型を示すE. albertii を保菌することが判明し,豚の生産物が本菌の人への感染源となり得ることが示唆された.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事
feedback
Top