2020 年 73 巻 5 号 p. 265-273
食中毒原因菌Escherichia albertii の豚での保菌状況と分離株の特徴を明らかにするため,2017年及び2018年に山形県内のと畜場搬入豚の保菌調査を行った.525検体の盲腸便を調査し,17検体(3.2%)から37株を分離した.このうち,20分離株(54.1%)がテトラサイクリン等の何らかの抗菌薬に耐性を示した.また,パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)法では,37分離株は6グループに分類された.各グループを代表する6菌株は,ゲノムワイド系統解析により既知の5つの系統群の中のG1群及びG3群(2亜系統群)に分類された.当該3群は,いずれも人由来株を含んだ.本研究により,山形県と近隣県の豚は多様なPFGE型を示すE. albertii を保菌することが判明し,豚の生産物が本菌の人への感染源となり得ることが示唆された.