日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
スフェロイド培養法による牛糞便からのロタウイルスCの分離
大竹 祥紘米山 州二
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2020 年 73 巻 8 号 p. 443-448

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抄録

3次元的な細胞コロニーであるスフェロイドは,2次元的な接着培養に比べ生体に近い環境での培養が可能である.獣医学領域においては本手法をウイルス分離へ応用した例はないため,分離困難と考えられているロタウイルスC(RVC)の特異遺伝子を検出した牛由来の糞便5検体を用い,接着培養及びスフェロイド培養の分離結果を比較した.接着培養ではいずれの検体もRVCの分離には至らなかったが,スフェロイド培養では5検体中3検体でRVCの分離に成功した.また,検体接種の時期をスフェロイドの形成前後で比較したところ,形成前に接種した方が高率に分離可能で,本法を実施する際にはスフェロイド形成前に検体を接種することが重要と考えられた.国内でのRVC分離例は2例のみであり,本法は分離が困難とされてきたウイルス種の確保に有用であると考えられた.

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