2022 年 75 巻 7 号 p. e157-e164
犬のアレルギー性皮膚炎は継続的な治療を必要とする慢性疾患であり,飼い主の治療参加が必須となる.本研究ではアレルギー性皮膚炎の犬の飼い主を対象としたWEBアンケートを行い,飼い主の治療満足度と関連する因子を検討した.544件の有効回答を解析した結果,17項目が高い治療満足度と有意な関連を示した.これらの項目には,臨床症状の改善に関連した項目の他,飼い主が治療に用いる時間的負担の軽減や高い世帯年収が含まれていた.この結果から,減感作療法などの時間的負担が大きい治療を実施する際には丁寧なインフォームが必要であると考えられる.また,世帯年収と治療満足度の間に関連が認められたことから,今後より幅広い飼い主を対象として,飼い主の社会的立場などの因子と治療満足度との関連を検討する必要があると考えられた.