東洋眼虫(Thelazia callipaeda)は,犬,猫,人,野生哺乳類の眼に寄生し,ショウジョウバエ科マダラメマトイ属が媒介する人獣共通の寄生虫である.今回,神奈川県山間部で13例の犬を東洋眼虫症と診断した(年間平均罹患率0.26%).症例は,雄9例,雌4例,年齢中央値10歳,体重中央値13.1 kgであった.12例が山間部に居住し,10例は室内飼育であった.犬糸状虫予防薬は6例に投与されていたが,発症は6~12月に多かった.回収虫体数中央値は3隻(1~15隻)であった.治療は虫体摘出が10/12例(83%)で有効であり,3例はイベルメクチン注射を必要とした.本症は,保虫宿主となる都市型野生動物の生息地の広がりに伴い発生域の拡大が疑われ,眼症状を示す犬では地理的環境を考慮し鑑別診断に加えるべきである.