2026 年 79 巻 6 号 p. e70-e78
山形県内の一酪農場で,2020年11月から12月にかけて搾乳牛9頭の乳汁でMycoplasma bovis(M. bovis)感染を確認した.感受性抗菌剤による治療を実施し,治療後もM. bovis 感染が認められた牛(不顕性感染牛)を淘汰し,終息に至った.約2年後,M. bovis 乳房炎が多発し,分離株のパルスフィールドゲル電気泳動,Multilocus sequence typing,最小発育阻止濃度,薬剤感受性に関与する一塩基多型解析の結果から,同一由来株が原因である可能性が高いことが示唆された.その後,新たに乳房炎に罹患した牛はすべてM. bovis 検査を行い,感受性抗菌剤による治療と不顕性感染牛の淘汰により2024年2月に終息に至った.その間,のべ63頭のM. bovis 乳房感染牛を確認し,21頭を淘汰した.一方,M. bovis 乳房炎の治療後3カ月の間にさまざまな微生物による乳房炎再発が57.1%の牛で認められた.これはM. bovis 乳房感染による宿主免疫応答の疲弊化による影響と考えられた.