2026 年 79 巻 7 号 p. e95-e103
各1例の筋胃,回腸,食道及び十二指腸並びに4例の腺胃に密着した肉用鶏8例の消化管重複囊胞(本症)を検索した.剖検により7例の囊胞が各消化管の背側に位置していた.組織学的に,各囊胞の内張り上皮が形成する絨毛状突起の背丈の径,固有層の腺様組織数及び平滑筋層の厚さを測定した.筋胃重複囊胞は背丈の高い絨毛状突起及び多数の腺様組織を有し,内腔に層紋状に配列する好酸性物質を含んだ.回腸重複囊胞の絨毛状突起の背丈及び腺様組織数はともに中程度であった.両囊胞の平滑筋層はともに中程度に発達していた.得られた成績から,前囊胞は筋胃,後囊胞は腸に類似する粘膜による内張りが示唆された.両囊胞は鶏の初報告である.本症の正確な病理発生は不明であるが,大多数の検索囊胞が消化管の背側に位置した事実から,人例の脊索分離障害説が有力視された.