日本獣医師会雑誌
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乳牛の壊疽性乳房炎に関する研究
IV.血液性化学的所見
凾城 悦司島田 保昭石田 史郎
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1983 年 36 巻 6 号 p. 315-319

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抄録

いわゆる壊疽性乳房炎牛36頭 (エンドトキシン陽性牛24頭, 陰性牛11頭) と健康対照牛12頭について, 血液生化学的検査を実施した.
壊疽性乳房炎牛は, 赤血球数・ヘマトクリット値の増加, 好酸球・分葉核好中球および単球の減少と桿状核好中球の増加, 血清総蛋白量・アルブミン・グロブリンおよび血清カルシウムの減少と血清尿素窒素・血清無機リンの増加が認められた. とくに壊疽性乳房炎のエンドトキシン陽性牛はその陰性牛に比し, 分葉核好中球と単球の減少, 血清GOT・GPT・LDHの著しい上昇がみられた.
臓器内の酵素活性値では, 壊疽性乳房炎牛は乳房組織内の各酵素活性値が著しく低く, またエンドトキシン陽性牛は心・肝・腎においてやや低い傾向がみられた.
これらの所見は, ヒトのエンドトキシン血症とよく一致していた.

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