日本獣医師会雑誌
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セキセイインコのフレンチモルトに関する病理学的研究
柵木 利昭井上 睦小島 隆平井 克哉島倉 省吾
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1985 年 38 巻 11 号 p. 708-712

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抄録

セキセイインコのヒナに発生したフレンチモルトの52例が, 病理組織学的ならびに電顕的に検索された. 剖検上, 全例に飛翔翼羽および尾翼羽の脱落, 短縮等が認められた. 本例の主要な病理組織学的変化は, 羽上皮の変性壊死ならびに滲出性羽髄炎, 時に肉芽性羽髄炎であった. また, その特徴像の1つとして, 3例ではあるが羽上皮に核内封入体が形成され, 電顕的にこの封入体にパポバウイルス様粒子が確認された. しかしながら, 羽上皮核内封入体と滲出性羽髄炎ならびに肉芽性羽髄炎との間には因果関係は見出し難かった.したがって, パポバウイルスが羽病変を引き起こす1つの原因体であることは否定されないが, 今回の検索例をみるかぎり, フレンチモルトにはいくつかの羽毛疾患が含まれていると考えられる.

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