日本獣医師会雑誌
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乳牛の人工授精後における乳汁中Progesterone濃度の変動と受胎との関係 (予報)
中尾 敏彦杉橋 章義守野 繁森好 政晴河田 啓一郎
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1985 年 38 巻 11 号 p. 717-721

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抄録

乳牛の人工授精後における乳汁中progesterone (P) 濃度と受胎との関係を調べた. 24頭54例の授精後におけるP値の変動型は, (1) 正常型: P値が速やかに増加し高値を持続するもの (59%), (2) 二峰型: P値が黄体期の中期に一過性に低下するもの (24%), (3) 低値型: P値が比較的低く推移するもの (11%), (4) 遅延型: P値の上昇が遅延するもの (6%), の4型に区分できた. 妊娠例では15例中14例 (93%) が正常型を示したのに対し, 非妊娠で19-26日に発情が再帰した29例では, 正常型は11例 (38%) に過ぎず, 二峰型が11例 (38%), 低値型が5例 (17%) および遅延型が2例 (7%) であった. また, 発情回帰までの日数およびP値から胎芽死が疑われた10例においては正常型が7例 (70%) であった. このように, 妊娠例では授精後の乳汁中P濃度の推移が正常型を示すものが多いのに対して, 非妊娠例では異常な型を示すものが多い傾向が認められた.

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