日本獣医師会雑誌
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北海道十勝地区の屠畜場搬入子牛におけるHaemophilus somnus分離と抗体調査
後藤 一一
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1985 年 38 巻 11 号 p. 728-733

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抄録

1982年1-2月の間に, 北海道十勝管内の集団哺育育成牧場から屠畜場に搬入された外見上健康な生後10-120日齢の乳用雄子牛50例についで, Haemophilus somnusの分離とその抗体価測定を試み, 次の結果が得られた.
1) 肺の肉眼病変を程度により, 病変が肺全体におよぶ重度 (+++) からまったく病変の認められない (-) までの4つに区分し, 病変と細菌検出との関連を調べた結果, +++-++の病変例27例中12例からH.smnusが, また9例からPasteurella multocidaその他の細菌が分離された. Ureaplasmaは27例中20例から検出された. 病変のない例および軽度の病変例からはH.somnus, その他の細菌 (Ureaplasma) は分離されなかった.
2) H.somnus, Ureaplasmaは日齢の若いものから多く検出された.
3) 抗血清による分離株12例のH.somnusのスライド凝集試験の結果, 7例が凝集反応陽性であった. また, 5例中3例は陰性で, 他の2例は疑陽性を示した.
4) 屠畜場に搬入された外見上健康な子牛について, H.somnus試験管凝集反応による抗体検査の結果, 病変例では30例中29例とほぼ全例に抗体の保有を認めた. この陽性GM値は52.0であった. これに対し, 病変の認められなかった群では20例中わずか3例が抗体を保有し, そのGM陽性値は25.0であった.

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