日本獣医師会雑誌
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日本猫に認められた犬小回虫とミルベマイシンDによる駆虫試験
深瀬 徹大内 義尚三枝 正彦茅根 士郎板垣 博樋口 周平小方 宗次鈴木 立雄
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1987 年 40 巻 8 号 p. 574-577

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抄録

1983年10月から1985年3月の期間に, 神奈川県において日本猫8頭に認められた犬小回虫について検討を行った. 第1例は, 若齢時から室内で飼育されていたもので, 輸入猫などとの接触の経験はないという. この猫由来の虫卵を用いて行った感染実験では, 犬へは容易に感染したが, 猫への感染性が低く, “犬株” の偶発的猫寄生と思われた. また, 第27例は, 集団飼育の猫で, 過去に輸入猫と同居飼育されたこともある. このうちの1頭に由来する虫卵を用いての実験感染では, 犬, 猫ともによく感染が成立し, 輸入猫由来の “猫株” がこの猫の集団に維持されたものと考えられた. 第8例は捕獲野猫で, この猫由来の犬小回虫が犬と猫に良好な感染性を示したことから, “猫株” が野外において蔓延しつつあることが示唆された. 以上の犬小回虫自然感染猫8頭中5頭について, ミルベマイシンDによる駆虫を試みたところ, 0.05mg/kg4) 用量では幼若虫の残存がみられることがあったが, 0.1mg/kgでは幼若虫をも含めて完全な駆虫が可能であった.

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