1987 年 40 巻 8 号 p. 587-591
母豚に対して分娩前および分娩後に, 硫酸カナマイシンによる鼻腔内噴霧を行い, 授乳期間中における母豚から哺乳豚へのBordetella bronchiseptica (以下Bbと略) の感染阻止をはかる野外試験を行った.
北海道胆振地方の一貫経営養豚場で, 分娩日から分娩後15日の間に繁殖雌豚の鼻腔内からBbが分離された.
そこで繁殖雌豚に対し, 分娩予定日の3日前, 分娩日, 分娩1週間後, 2週間後, 3週間後の5回, KMの鼻腔内噴霧 (960mg力価/頭) を行い, あわせて試験管内で強い殺菌効果の認められた, 塩化イソシアヌール酸カリウムによる畜舎消毒を週2回実施した.
その結果, 離乳時における試験群母豚 (6頭) の産子 (30頭) の鼻腔内の細菌検査でBbは検 出されなかった. また, 鼻甲介骨の萎縮は試験実施前の対照群に比べ軽減された.