日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
子豚における鼻保定採血の各種血液成分に及ぼす影響
山田 稲生高橋 秀之大石 浩之
著者情報
キーワード: 鼻保定, ストレス, 採血
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 12 号 p. 855-858

詳細
抄録

豚の鼻保定による採血行為が血液成分にどのような影響を与えるかについて検討を行った. 6頭の子豚を用い, 実験の7日前に採血用頸静脈留置カテーテルを外科的に装着した. 5分間の鼻保定を行い, さらにその間に注射針を頸静脈洞部位に数度にわたり穿刺して, 保定開始後120分まで経時的に採血を留置カテーテルより行った. 対照実験として同様の6頭の子豚を用い, 保定実験の前日に保定行為なしで同様の時刻での採血を留置カテーテルより行った. 保定実験では, 赤血球数, HtおよびHbが保定開始後5~10分で有意の増加が認められた. 総白血球数は, 保定開始後5分時と60分時をピークとする二峰性の増加を示した. 血漿コルチゾール値, および血漿グルコース値も保定実験開始後, 有意の上昇が認められた. 以上, 鼻保定採血行為が豚に対して大きなストレッサーになり得ることが示唆され, これらの値の変化は, 血液診断にあたり十分に考慮する必要がある.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top