1987年5月29日, 茨城県内で23群を飼育する養蜂家の定期腐蛆病検査を実施したところ, そのうち3群で無蓋巣房内の蛆が多数死亡しているのが発見され, ミルクテストの結果, 8例中5例の蛆が4~8時間で陽性を示した. 11例の蛆について菌分離を試みたところ, ヨーロッペ腐蛆病の原因菌とされるMelissococccus plutonが11例中3例から, 二次感染菌とされるBacillus alveiが7例から,Enterococcus faecalisが8例の蛆からそれぞれ分離された. 分離された.Melissococcus plutonは好気的には発育せず, 嫌気条件でのみ発育がみられた. しかも, 培地中のNa: Kの比が1未満でなければ発育しないといった特徴を持ち, その他の性状でも参照株およびBAILEYの記載とほぼ一致した. 検査成績からこの3群をヨーロッパ腐蛆病と診断し, 感染のおそれがあった8群を含めて計11群について焼却処分を実施した.