日本獣医師会雑誌
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馬に対するセレニウムとトコフェロール大量投与後の血液と臓器中濃度
一条 茂納 敏竹田 孝夫更科 孝夫
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1992 年 45 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

3頭の馬に対しE・SE剤 (1ml中にSe 2.5mg, d-α-tocopherol acetate 50mgを含有) の大量筋肉内投与 (1回量: 5.72-8.6ml/100kg) を行い, 投与後の臨床所見, 血中濃度, 臓器含量について検討した.
E・SE剤8.3ml/100kgの1回注射例では6日間の観察期間中, 血清Se値が149.8-2253ppb, 血清トコフェロール値 (Toc) が676.8-1369.6mg/100mlの範囲の高値を示したが, 血液GSH-Px活性値は増加しなかった
E・SE剤8.6ml/100kgの7日間隔, 2回注射例では2週間の観察期間中, 血清Se値は146.0-369.9ppb, 血清Toc値は544.6-1443.6μg/100mlの高値を示したが, 血液GSH-Px活性値は増加しなかった.
E・SE 5.72ml/100kgの10日間隔, 6回注射例では60日間の観察期間中, 血清Se値は72.6-119.7ppb, 血清Toc値は386.5-448.3μg/100mlの高値となったが, 血清GSH-Px活性値は40日以降に軽度に増加したのみであった.
試験終了時の供試馬の各臓器のSe含量では肝臓, 脾臓, 腎臓が対照馬に比べ高値を示した. 臓器のα-Toc含量では肝臓, 副腎, 脾臓骨格筋, 心筋, 腎臓が対照馬に比べ高値であった. 供試馬はいずれも臨床所見の異常がみられなかった

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