抄録
腹部膨満と嘔吐を主訴とした犬 (ゴールデン・レトリーバー, 雌, 6歳) で, 血液検査の結果, 白血球数, クレアチニン, 血液尿素窒素およびアラニンアミノトランスフェラーゼの上昇がみられた. また腹部X線検査より, 腹水の貯留が疑われた. 抗生剤と利尿剤による内科療法により一時緩解するも, 2週間後に同様の症状を呈したため, 試験的開腹術を行った. 開腹時, 脾臓の位置に腫大した肝内側左葉を観察し, 精査の結果, 肝葉が反時計方向に180度捻転していた. 捻転した肝葉を外科的に摘出した結果, 術後再発もなく, 順調に回復した. 摘出した肝葉の病理所見として, 肝細胞の重度変性・壊死および一部線維化がみられた.