抄録
北海道石狩管内の一酪農家において, 乳牛 (ホルスタイン種) 43頭の蹄踵部に, 疣状皮膚炎あるいは趾乳頭腫症と呼ばれる慢性皮膚炎の集団発生をみた. 病理組織学的検査で, 病変は角質層の増殖と不全角化を特徴とし, Warthin-Starry染色およびLevaditi染色標本で角質層に侵入・増殖する無数のらせん菌が認められた. このらせん菌は, 走査型電子顕微鏡ではトレポネーマに類似した形態を示し, 免疫組織化学的にはTreponema pallidumと共通抗原を持つ細菌であった. 外科的切除後の抗生物質 (テトラサイクリン, セファゾリン, クロラムフェニコールなど) の局所塗布による治療に対し, 一時的には病変の消失をみたが, 1~3カ月後にはその約半数に再発が認められた. また, EMJH培地およびTYGVS培地を用いて細菌の分離を試みたがらせん菌の分離・同定にはいたらなかった.