日本獣医師会雑誌
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犬の消化管間質腫瘍の2例
乙部 有加森 崇坂井田 誠山田 雅人小林 慶哉児玉 篤史酒井 洋樹丸尾 幸嗣
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キーワード: , GIST, 予後
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2007 年 60 巻 10 号 p. 729-732

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抄録

腹腔内腫瘤が疑われた2頭の犬に対して開腹手術を行い, それぞれ盲腸 (症例1) および胃幽門部 (症例2) の腫瘍を摘出したところ, 病理学的に消化管間質腫瘍 (GIST) と診断された.症例1は術後10カ月経過した時点で転移, 再発等認めず, 経過良好であるが, 症例2は術後38日で腹腔内に転移し, 術後55日目に死亡した.Ki-67の陽性率は症例1で4.4%, 症例2で19.2%であり, 細胞分裂指数はそれぞれ0.25%と1.1%であった.今回の症例の予後については, 症例1では比較的良性であったが, 症例2では極めて悪性であり, GISTの予後はさまざまなものが存在する可能性が示唆された.また, Ki-67の陽性率および細胞分裂指数はGISTの予後因子となりえる可能性がある.

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