Journal of Veterinary Medical Science
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生化学:アポリポタンパクC-IIIは正常牛では高密度リポタンパク画分に局在するが,高脂血症牛では高密度リポタンパクよりもキロミクロンに多く検出される
山本 みどり大橋 傳加藤 憲夫及川 伸
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2000 年 62 巻 10 号 p. 1033-1039

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抄録

ヒトとは異なり,牛のアポリポタンパクC−III(apoC−III)は高密度リポタンパク(HDL)画分に局在し,キロミクロンや超低密度リポタンパクには検出されない.その理由は牛では食餌性脂血症が顕著に発現しないためと考えられている.高脂血症の仔牛を採材する機会を得たので,apoC−IIIとapoA−I(ヒトではapoC−IIIとapoA−Iの遺伝子はリンクしている)の血清濃度及びapoC−III,apoA−I,ハプトグロビン(apoA−Iと親和性を持つ)のリポタンパク質中での分布について調べた.正常牛に比べ,高脂血症牛のapoC−III濃度は10倍以上に増加していた.また,apoC−IIIはHDLよりもキロミクロンに多く局在していた.ApoA−I濃度も高脂血症牛では約4倍に増加し,apoC−III同様,キロミクロンに多く分布していた.ハプトグロビンはキロミクロンとHDLに検出された.以上の結果はapoC−IIIが牛の高脂血症の病態に関与することを示唆している.また,apoC−IIIとapoA−I遺伝子がリンクしていること,さらに,apoA−Iとハプトグロビンが親和性を持つことが牛でも推察された.

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