Journal of Veterinary Medical Science
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臨床繁殖学:猫の非繁殖季節における胚移植
筒井 敏彦Itsushin YAMANE服部 郁子黒沢 紀子松永 秀夫村尾 育子神田 政典堀 達也
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2000 年 62 巻 11 号 p. 1169-1175

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抄録

猫の非繁殖期に胚移植(ET)を実施し,持続性progesterone(P4)投与によって妊娠を存続させ,正常子を得ることを計画した.eCG,hCG投与によって排卵を誘起した供卵猫5頭について,交配後6日に胚回収を行った.1頭あたり24~53個,平均37.2±.6.4個で,多くは収縮桑実胚であった.胚の回収率は,49.0~93.3%,平均73.8±9.6%であった.受卵猫として豚下垂体FSH製剤,hCGで発情,排卵が誘起できた19頭中18頭(94.7%)に,収縮桑実胚を5個ずつ子宮内ETを行った.その結果,17頭(94.4%)が受胎し,着床数は,2~5個,平均3.7±0.3個であった.これらのうち15頭は,妊娠24日から持続性P4投与を行った結果,妊娠64~69日に正常分娩または帝王切開によって,1~5匹,平均3.4±0.3匹の正常子を得た.しかし,持続性P4投与を行わなかった2頭は妊娠中頃で流産した.以上のように,非繁殖期の猫で,ETを実施し,持続性P4投与によって妊娠を存続させ,正常子を得ることが可能となった.

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