抄録
わが国で分離された241株の豚由来 Pasteurella multocida (Pm) のモルモットに対する皮膚壊死毒素 (DNT) 産生能を調べたところ, 62株 (25.7%) がDNT産生 (DNT+) 株であった。DNT+株のうち, 61株は健康または死亡豚の鼻腔内から分離されたが, 肺炎病巣からはわずかに1株が分離されたにとどまった。DNT+株はすべて莢膜血清型Dに属し, DNT産生能以外の生物学的性状にはDNT非産生 (DNT-) 株との間に差異は認められなかった。豚における萎縮性鼻炎(AR)の発症と分離Pm菌株のDNT産生能との間に相関は認められなかった。AR症状はPmと同時にBordatella branchiseptica(Bb)が分離された。豚の約70%で認められたが, Bb分離陰性でかつPm分離陽性の豚でのAR発症率は19%以下であった。また, 市販ARワクチン注射豚では顕著なAR発症予防効果が認められたが, ARワクチン未注射豚におけるARの発症率は92%であった。