1991 年 53 巻 1 号 p. 159-160
堺市の下水道内で捕獲したドブネズミ18頭 (♂7頭, ♀11頭) について, 内部寄生虫の検査を行った. このうち, 16頭のネズミから, Orientostrongylus ezoensisの寄生が認められた. 本種は, 最初, 北海道のドブネズミにおいて発見された後, 東京, 神戸などのドブネズミおよび福岡県のクマネズミからも報告されている. 今回, 堺市内のドブネズミにもO. ezoensis分布していることが確認された. これらのネズミにおいては, その他にNippostrongylus brasiliensis, Capillaria hepatica, Trichosomoides crassicauda, Heterakis spumosaの線虫4種を認めた. さらに, 5頭の糞便からコクシジウムのオーシストを認めたが, その他の条虫, 吸虫等は見られなかった. 検出した寄生虫のうち, C. hepaticaは人畜共通の寄生虫であり, 公衆衛生上注意を要すると考えられた.