抄録
自己免疫性溶血性貧血 (AIHA) に罹患したイヌ1例の自己抗体および赤血球膜タンパクの性状を発症期ならびに寛解期について検討した. 発症期では抗グロブリンテストは陽性を示し, 赤血球よりの解離抗体は自己血球ならびに健康イヌ血球を凝集した. 解離した自己抗体のサブクラスはIgGおよびIgAであった. また, 赤血球膜ゴーストを作製し, AIHAイヌ赤血球膜タンパクをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて解析したところ, AIHAイヌで著明に赤血球膜4.1タンパクの位置に相当するタンパクの増量を認め, その分子量は約81,000であった. 本例は, 化学療法によって寛解を呈したが, その時期における抗グロブリンテストは陰性であった. また, 寛解期の赤血球膜ゴーストには発症期に認められた4.1タンパクの増量は検出されず, 発症期と寛解期赤血球膜タンパクの泳動パターンに差異を認めた. しかし, 赤血球膜タンパクの変化に伴う赤血球型抗原の変異は認められなかった.