抄録
土壌, 河川水並びに井戸水にYersinia enterocoliticaO3, O4, O5A, O5B, O6, O6, 30, O9, O13およびYersinia intermediaを接種して接種菌の消長を観察し, 次の成績を得た. 1) 20℃保存の土壌と河川水および4℃保存の土壌において, 供試菌株中O3株が最も急速に死滅した. また, O4, O5AおよびO9株は4℃保存の土壌において, 生菌数が10/g未満になってから35週間以上生残した. 2) O9株は4℃保存の河川水ではO3株よりも急速に死滅したが, 4℃保存の土壌では非病原株と同様に長期間生残した. 3) O3, O5BおよびO9株は4℃保存の土壌および河川水では20℃保存のものより長期間生残した. 4) O4, O5A, O6の非病原株について, 4℃保存の井戸水では菌数減少が認められなかった. 5) 濾口径100μm又は5μmのフィルターで濾過した土壌上清中ではO3株およびO5A株は死滅したが, 0.22μmのフィルターで濾過又は121℃15分間加熱した土壌上清中では両株の菌数減少は観察されなかった.