Journal of Veterinary Medical Science
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ウマにみられたクリオグロブリン血症
前出 吉光稲葉 睦天野 雄策村瀬 敏之後藤 郁男板倉 智敏
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1991 年 53 巻 3 号 p. 379-383

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抄録

糸球体腎炎に罹患した1頭の馬の血中からクリオグロブリンが検出された. 患馬は冬期に脚部の腫脹および皮膚の潰瘍形成を呈していた. 分離されたクリオグロブリンは, ゲル浸透クロマトグラフィーにより単一のピークを示し, その分子量は180,000であった. またセルロースアセテート膜電気泳動ではγ-分画が2本のバンドに分離した. 免疫電気泳動では抗ウマIgGに対して2本の沈降線が認められた. また, 二重拡散法においては, 同クリオグロブリンと, 正常ウマにより精製されたウマIgGはともに抗ウマIgGに対して沈降線を生じた. さらにSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により, 還元条件下において分子量52,000と50,000, および31,000と30,000のポリペプチドが検出され, 分子量的に前者はウマIgG分子の重鎖に, また後者はその軽鎖に一致した. これらの結果から, このクリオグロブリンは二つの異なったIgG分子から構成されていること, および同グロブリンが患馬の腎および脚部の障害の原因であったことが推察された.

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