抄録
犬糸状虫症犬において血清総クレアチンキナーゼ(CK)活性およびisozyme活性を測定した. 犬糸状虫摘出前, 軽症群の総CKとisozyme活性は犬糸状虫非寄生群と有意差がなかった. 喀血群では, BB活性が高値であった. 腹水群ではMM活性が軽度に上昇していた. Caval syndrome(CS)群では, 総CKとMM活性が5群中最も高く, MM活性は総CK活性の75%を占めていた. MBとBB活性も高値であった. しかし, 予後良好例と不良例ではCK活性値に有意差はなかった. 肺動脈寄生例(軽症群と腹水群)では, MM活性は犬糸状虫寄生数, Ht値, 血清ALTおよびLDH活性, 平均肺動脈圧, 総肺血管抵抗と有意に相関した. また, CS例では, MM活性はどの項目とも有意の関係を示さなかったが, BB活性は右心房の犬糸状虫寄生数, Ht値, ALTおよびLDH活性, BUNと有意に相関した. 犬糸状虫摘出1週後, BBとMM活性は喀血群と腹水群でそれぞれ低下した. CS群では, 総CK活性とMM活性が, 予後の良否に関わらず著しく低下した.