抄録
ブタ, ウシ, ウマの心房ならびに心室筋細胞を免疫組織化学的に, 右側の心房及び心耳筋細胞を透過電子顕微鏡学的に観察し, さらにこれらの細胞のANP顆粒を形態計測により解析した. 免疫組織化学的には, ブタ, ウシでは右側の心耳が最も強く反応し, ウマより顕著であった. 電顕的には, 心房筋及び心耳筋細胞において, ANP顆粒は, おもに核周囲のゴルジ野にみられ, 筋原線維間にも少数存在した. 顆粒は2種類に分類でき, A顆粒は限界膜を有し, 電子密度の高い均質無構造であり, B顆粒は限界膜が不明瞭な微細線維粒状であったが, ゴニオメーターの台の傾斜角度により, B顆粒の周囲に限界膜が出現した. 形態計測的には心耳筋及び心房筋細胞のA, B顆粒の数は, ウマに比ベブタ, ウシが有意に多かった. ブタ, ウシにおいて, 両顆粒の総数は心房筋よりも心耳筋細胞に有意に多かった. A, B顆粒の大きさは, ウマに比ベブタ, ウシが有意に大きく, また, A顆粒がB顆粒に比べ, いずれの動物種でも有意に大きかった.