Journal of Veterinary Medical Science
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若齢Sparague-Dawleyラットに於ける自然発生眼病変
久野 博司臼居 敏仁Eydelloth S. RonaldWolf E. Dan
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1991 年 53 巻 4 号 p. 607-614

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抄録

種々の前臨床安全性試験の試験開始前期に若齢Sparague-Dawleyラット808匹の眼科学的異常について検査を行った. 瞳孔膜の遺残, 角膜の結晶, 治癒した軽度の外傷, 虹彩の癒着, 虹彩のコロボーマ, 水晶体の偏位, 白内障, 一次硝子体の過形成の遺残, 硝子体内の出血, 視神経乳頭あるいは脈絡膜のコロボーマ, 硝子体動脈の遺残, 網膜内の出血, 網膜剥離, 網膜内の褶曲形成, および脈絡膜の欠損が観察された. 角膜の結晶, 虹彩の癒着, および核性白内障の発現頻度は従来の報告と比べ高値を示した. 一方, 網膜の褶曲形成の頻度は低かった. このことは使用するラットの眼の異常の背景データは各々の研究所で集積しておく必要があることを示し, さらに, 若齢ラットで眼の異常がかなり観察されたことから, 試験開始前に眼科学的異常のある動物を充分に選別することは, 安全性試験における被験物質の毒性評価の質を高めるために必要であると考えられた.

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