Journal of Veterinary Medical Science
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ウマ病巣由来Staphylococcus aureusの性状
清水 晃河野 潤一尾崎 潤一郎佐々木 紀幸木村 重鎌田 正信安斉 了斉藤 博佐藤 久聡
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1991 年 53 巻 4 号 p. 601-606

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抄録

1985年5月から1988年11月の間に, 3道県のウマの各種病巣から分離したS. aureus 76株の各種性状を検討した. 生物型は, 子宮炎株ではBとC型がほぼ同頻度で検出されたが, 皮膚(蜂巣織炎, 皮膚炎), 呼吸器(副鼻腔炎, 蓄膿症, 鼻カタール)および下痢症株ではC型が多くみられた. コアグラーゼ型は, 子宮炎株ではVとVII型が多く, 皮膚および呼吸器株ではII型が多くみられた. ファージ型は, 子宮炎株では型別できた34株中20株(58.8%)がIとII群に属した. 薬剤耐性型は, PC耐性が由来に関係なく最も多く, 耐性株の95.6%を占めた. PC耐性43株中40株(93.0%)がβ-ラクタマーゼを産生していた. 76株中8株(10.5%)がエンテロトキシン(A型2株, B型1株, C型5株)を産生し, すべて子宮炎由来のものであった. 子宮炎由来の2株が毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)を産生し, いずれも同時にエンテロトキシンCを産生していた. 蜂巣織炎由来の1株が表皮剥脱毒素(ET)を産生した. TSST-1とET産生株がウマから分離されたのは, はじめての報告と思われる.

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