Journal of Veterinary Medical Science
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ラット肝増生結節におけるArylhydrocarbon hydroxylaseチトクロームP-450の減少と薬物抱合UDP-グルクロニルトランスフェラーゼの増加
横田 博扇谷 信幸湯浅 亮
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1991 年 53 巻 4 号 p. 683-690

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抄録
2-アセチルアミノフルオレインを投与したラット肝増生結節のミクロゾームにおいて, Arylhydrocarbon(benzo[a]pyrene)hydroxylase活性が正常肝の10%にまで減少した. 我々が最近精製したbenzo[a]pyrene hydroxylase活性を有するチトクロームP-450(P-450/B[a]P)の抗体を用いて, イムノブロッティングを行うと, 結節組織ミクロゾームにおいてP-450/B[a]P蛋白の量が減少していた. 同じく, 結節組織のミクロゾームでは, 薬物抱合UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ活性が3.3~4.6倍に増加していた. この誘導された活性は, 我々の精製した薬物抱合UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(GT-1)の抗体により阻害された. この抗体を用いてイムノブロッティングを行うと, 結節組織ミクロゾームにおいてGT-1蛋白の量が増加していた. また, この誘導されたGT-1も正常肝と同様におよそ4,000ダルトンに相当する"高マンノース"型の糖鎖を有していた. 上記のような, P-450/B[a]PやGT-1に相当する分子種の著明な増減は結節組織に限られ, 結節のまわりの肝組織では見られなかった. 以上の結果より, 良く知られているラット肝増生結節におけるArylhydrocarbon hydroxylase活性の減少と薬物抱合グルクロン酸抱合活性増加現象は, 各々P-450/B[a]Pに相当するP-450分子種の減少とGT-1に相当するGT分子種の増加で説明できた.
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