抄録
新規の免疫調整物質として合成されたオビオペプチド-1(Obi-1), Gly-Glu-Glu-Glu-Glu-Glu, を腫瘍移植マウス1匹当り30あるいは100μgずつ, 週に1回で3週間, 計3回筋肉内に投与すると, Obi-1非投与マウス腫瘍増殖に比較して有意な増殖抑制効果が観察された. Obi-1投与腫瘍移植マウスの脾臓内大小単核細胞数の集族はObi-1非投与腫瘍移植マウスに比較して極めて顕著であり, 特に散在性に多数の円形大形単核細胞(単球-マクロファージ)の出現が観察された. 健康マウス腹腔内単核付着細胞を0bi-1添加培養すると活性酸素中間体(O-2)の産生が増加した. 一方, Obi-1投与および非投与マウス脾臓細胞の細胞障害活性を各種腫瘍細胞(MC, Meth-A, P-8l5, YAC-1)を用いて検討したところ, Obi-1投与マウス脾臓細胞は軽度ではあるが10%程度の細胞障害活性を示した. 以上の結果から, 合成オビオペプチド-1は腫瘍増殖抑制に対して生体へ軽度な免疫賦活作用を有すると考えた.