Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
トリ白血病ウイルスを垂直伝播する母鶏の摘発とその分析
塚本 健司長谷部 誠垣田 慎一郎日原 宏甲野 雄次
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 53 巻 5 号 p. 859-864

詳細
抄録
白色レグホーン種の原種について, トリ白血病ウイルス(ALV)を垂直伝播する母鶏(伝播鶏)の摘発と分析を, ELISAによる抗体, 抗原及びALVの各検査法を用いて検討した. ALVの感染状態により母鶏を, 血清中に抗体及びALVを保有しない鶏[抗体(-)ウイルス(-)鶏群, 49羽], 抗体を保有する鶏(抗体保有鶏群, 21羽), ウイルス血症の鶏(ウイルス血症鶏群, 2羽)の3群に分類し, 各群の母鶏について, 卵白へのウイルス及び抗原の排池及び鶏胚の感染を調べた. その結果, 抗体(-)ウイルス(-)鶏群では, 新鮮卵白からウイルス及び抗原は検出されず, 感染胚も認められなかった. 一方, 抗体保有鶏群の内3羽及びウイルス血症鶏群の2羽では, その新鮮卵白全てからALVが検出され, 感染胚が確認された. しかし, 新鮮卵白からALVが検出されなかったにも拘らず感染胚を産出した抗体保有鶏が1羽認められた. 以上の成績より, 伝播鶏の摘発には, 新鮮卵白からのウイルス検出法がある程度有効と考えられた. また, これら6羽の伝播鶏について, ウイルスの体内分布を調べたところ, 卵管膨大部のウイルス量が最も多かったことから, この部位で産生されたウイルスが胚感染に関与することが示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top