抄録
仮性狂犬病ウイルスの赤血球凝集(HA)素は, 4゜, 22゜または37℃においてマウス赤血球(RBC)に容易に吸着したが, 牛赤血球には吸着しなかった. RBCに吸着したHA 素は緩衝食塩液(PBS)に再浮遊しても, 37℃または50℃に加温しても, ノイラミニダーゼで処理しても赤血球から解離しなかった. マウスRBCのHA素のレセプターはトリプシンで不活化されたがノイラミニダーゼ, デオキシコール酸ナトリウム(DOC), 過ヨウ素酸カリウム(KIO4), ジチオトレイトール(DTT), 2-メルカプトエタノール(2-ME)およびホルマリンでは不活化されなかった. HA素はトリプシン, α-アミラーゼ, ペプシン, DOC, KIO4およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)で不活化されたがパパイン, β-グルコシダーゼ, ホスホリパーゼC, ノイラミニダーゼ, DTT, 2-ME, ツィーン80, エチルエーテル, クロロホルム, トリクロロトリフルオロエタン, β-プロピオラクトンおよびホルマリンで不活化されず, HA素の活性には糖タンパク質の関与が示唆された. HA素は37℃またはそれ以下の温度で安定であったが, 60℃またはそれ以上で不安定であった. HA素の活性は紫外線照射に対し抵抗性であったが, 感染性は非常に感受性であった. HA素と感染性は48,000×g 3時間の超遠心によって容易に沈殿した. ショ糖密度勾配平衡遠心により, HA活性のピークと感染性のピークは密度1.22g/mlの分画で一致し, ピーク分画のHA活性はウィルス粒子と結びついていると思われた. ノニデットP-40でウイルスを処理することによって, HA活性は被膜を持った分画のみに認められたことから, HA素はウイルス粒子の被膜に存在していることがうかがえた.