Journal of Veterinary Medical Science
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子牛の先天性び漫性過形成性甲状腺腫に関する疫学的並びに病理学的研究
清宮 幸男大島 寛一伊藤 博小笠原 信幸松木田 裕子結田 康一
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1991 年 53 巻 6 号 p. 989-994

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抄録
A農場において1987および1988年, 約600頭の雌牛から86頭の虚弱子牛あるいは早死産子が分娩された. 母牛に対し約30gの海草粉末を毎週2ないし3度の間隔で投与した後の1989および1990年には, 異常分娩は虚弱子牛の顕著な減数により36頭に減少した. これらのなかから死産子を含む23例の子牛について病理学的検索を行った. 海草粉末投与前の18例の甲状腺平均重量は36.3±28.6gであり, 組織学的に中程度以上のび漫性過形成性甲状腺腫が12例(67%)にみられた. 海草粉末投与後の5例では, それらの値はそれぞれ12.0±3.4gおよび0例であった. これらの結果から虚弱子牛の誕生に甲状腺腫が関連していることが示唆された. また, A農場と異常分娩の散発が知られているB農場における甲状腺腫の浸潤率を推察するため, 1986年にアカバネ病に羅患した両農場の37例の新生子牛について病理学的検索を行った結果, A農場の13例中7例(54%)およびB農場の24例中1例(4%)が中程度以上の組織学的甲状腺腫病変を保有していた. 両農場にはアブラナ科の"イヌガラシ"が散在していた. A農場およびB農場の牧草のヨウ素含量は乾物重量当たりそれぞれ87および121μg/kgと低値を示した. 甲状腺腫の原因として, ヨウ素の不足とイヌガラシ由来のチオシアネイトが関与していることが考えられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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