抄録
痙攣, 反弓強直, 眠球振盪など顕著な神経症状を示した37日齢の黒毛和種の雄子牛を病理並びに細菌学的に検査した. 肉眼的に, 出血性壊死巣が大脳, 小脳, 橋および延髄に多発した. 組織学的に, 壊死巣内には鬱血, 出血, 血管炎や血栓症などの血管病変, 神経網の疎性化およびび慢性好中球浸潤が観察された. 軽度ないし中程度の化膿性炎が脳脊髄軟膜にみられた. 免疫組織化学的に観察したところ, 壊死巣内に多数のClostridium septicum抗原が検出された. 細菌学的に, 脳より同菌が分離された. これらの結果から, 血栓栓塞性髄膜脳炎類似の脳病変は同菌の感染に関連していた可能性が疑われた.