抄録
ネコ白血球膜上の抗原(F2抗原)に対するモノクローナル抗体を作製した. F2抗原は分子量48,000のタンパクと考えられ, ネコの白血球膜表面に発現しているが, 赤血球, 血小板には発現されていなかった. また, ヒト, イヌ, ウシ, ブタ, ウサギ, およびモルモットのリンパ球には交叉する抗原は認められなかった. 74頭のネコにおけるスクリーニングでは, 61頭がF2(+)型, 13頭がF2(-)型に分類され, 家系調査から遺伝性抗原と考えられた. マイトージェン刺激リンパ球では, F2抗原の発現は経時的に減少する傾向が認められた. これらの結果から, F2抗原はヒト及び他の動物で認められるクラスI抗原に類似した抗原であることが示唆された.