Journal of Veterinary Medical Science
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交感神経β2-受容体刺激剤塩酸クレンブテロールの投与による牛の夜間分娩回避効果
中尾 敏彦佐藤 清和中村 敏男田口 和史森好 政晴河田 啓一郎
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1992 年 54 巻 1 号 p. 19-22

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抄録
子宮平滑筋弛緩作用のある交感神経β2-受容体刺激剤塩酸クレンブテロールの投与による牛の夜間分娩回避効果を検討した. 分娩の第一期にあり, 夜間に分娩する可能性が高いと判定されたホルスタイン種乳牛68頭のうち, 42頭について18:00と22:00に塩酸クレンブテロールの300μgと210μgをそれぞれ筋肉内注射し, 他の26頭は無処置対照とした. 塩酸クレンブテロール投与例では, 翌朝3:30に分娩した1例を除くと, 全例が翌朝5:00以降に分娩し, 5:00から10:00の間に集中する傾向があった. これに対して, 対照例では22:00から5:00までの夜間に分娩例が多く, 42%を占めた. このことから, 塩酸クレンブテロールの2回投与は夜間分娩の回避に有効であることが確認できた. また, 処置例では, 難産や胎盤停滞の発生率は減少し, その後繁殖成績も向上する傾向が認められ, 新生子牛の活力や生存性および母牛の健康状態や乳量などに悪影響は認められなかった.
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