抄録
マウス胎仔生殖腺の分化にともなう生殖細胞内のLewis x (Lex)抗原の局在変化を光顕および電顕レベルで免疫組織化学的に検討した. 交尾後12日齢の未分化生殖腺において, anti-Lex monoclonal antibody (MAb)は, 生殖細胞の細胞膜および細胞質内の"small dense body" (SDB)に陽性反応が認められた. 性分化後(13日齢)の雄においては, 生殖細胞は精巣索に取り囲まれ, anti-Lex MAbの反応は, SDBにのみ認められ, 細胞膜への反応性はほぼ消失した. 一方, 同胎仔の精巣外に取り残された生殖細胞(異所性の生殖細胞)では, 細胞膜に明らかに陽性反応が認められ, また同時期(13日齢)の卵巣においても, 生殖細胞の細胞膜に陽性反応が観察された. 以上の結果より, このような生殖細胞の分化にともなう細胞膜および細胞内のLex抗原の局在の変化は, 雄の生殖細胞が精巣索に取り囲まれることに深く関連していることが示唆された.