Journal of Veterinary Medical Science
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54 巻, 2 号
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  • 高木 敬彦, 峡谷 香澄, 遠藤 治, 後藤 純雄, 光崎 研一, 村田 元秀, 松下 秀鶴
    1992 年 54 巻 2 号 p. 193-199
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    相模原市の大気の汚染度を変異原性の面から把握するため浮遊粉じんを1年間定期的に採取し調べた. 浮遊粉じん量は季節別に有意差はみられなかったが, その溶媒抽出物(タール状物質)の冬期の濃度は他の季節に対して有意に高いことが判った. 変異原性はTA100, TA98株の両菌株に対してS-9mix添加の有無にかかわらずみられることや, その高さは採取日により数倍~数十倍大きく変動し, 日曜日, 盆, 正月など産業活動の低い時期には変異原性も低くなる傾向を示した. 季節別では冬期が夏期や春期に比べて有意に高いことが判った. また, S-9mix無添加系が添加系よりも高い日が比較的多く認められたことからTA98NR株を用いてニトロアレーン類の存在を調べた結果, その存在は冬期よりも夏期に多いことが判った.
  • Hasbullah , 中村 貴史, 川口 陽資, 中井 裕, 扇元 敬司
    1992 年 54 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Emireria tenellaを実験感染させたブロイラーとSPFレイヤーの血清中抗体を胞子形成オーシストおよび第2代メロゾイトから調製した可溶性抗原を用いたELISAで検出した. 15日齢で1回感染をした場合, ブロイラーではいずれの抗原に対しても接種19日後から急速にELISA価が上昇し, オーシスト抗原では29日後, メロゾイト抗原では32日後に最大に達した. SPFレイヤーでは接種7日後からELISA価が上昇しはじめ試験終了まで緩やかに上昇を続けた. また, ブロイラーに対してメロゾイト抗原を用いた場合, オーシスト抗原より明らかに高い値を示した. 一方, 1および15日齢で2回感染をした場合, メロゾイト抗原に対するブロイラーのELISA価は2回目の接種後急速に上昇して11日後に最大に達した. SPFレイヤーでは2回目の接種20日後にELISA価は最大となった. 2回感染の場合も1回感染の場合と同様にブロイラーのメロゾイト抗原に対するEL-ISA価はオーシストに対するものより有意に高かった. いずれの感染実験においてもメロゾイト抗原を用いた場合, ブロイラーのELISA価はSPFレイヤーのものより有意に高かった. また, 母親からの移行抗体はブロイラーにおいて比較的高く検出されたが, 徐々に下降して行き10日齢で無視できるレベルになった.
  • 松村 富夫, 杉浦 健夫, 今川 浩, 福永 昌夫, 鎌田 正信
    1992 年 54 巻 2 号 p. 207-211
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    わが国の馬におけるウマヘルペスウイルス1型と4型の感染状況を明らかにするために, 1979年から1990年にかけて, 呼吸器症状を呈した馬からのウイルス分離と同定を実施した. その結果, 1型ウイルス42株と4型ウイルス64株が, それぞれ分離同定された. 1型ウイルスは, トレーニングセンター(トレセン)の競走馬群においてのみ, 冬季間に呼吸器疾患が流行した際に限って分離された. 4型ウイルスは, 生産牧場の当歳馬群と明け2歳馬群, 育成牧場の育成馬群, 当研究所の明け2歳馬群およびトレセンの競走馬群の今回調査したすべての馬群において, 季節に関係なく分離された. また, 今回の調査では, 白血球を含んだ血漿材料から4型ウイルスが4株分離され, これまで1型でしか報告のなかった血中のウイルスの存在(cell-associated viremia)が4型においても証明された. 併せて, 最近の9年間に日高地方で流産胎児から分離された87株のウイルスが, すべて1型ウイルスと同定された. これらの結果から, わが国においては, 1型ウイルスは冬季間における競走馬の呼吸器疾患の流行と妊娠馬の流産発生に関与し, 4型ウイルスはすべての馬群内に季節と無関係に広く伝播し呼吸器疾患に関与していることが示唆された.
  • 小島 義夫
    1992 年 54 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    麻酔下で去勢したヤクシマ系ヤギ12頭の精巣をグルタール・アルデヒド液で灌流固定し, 組織小片をタンニン酸を含む液で再固定した. 更に, オスミウム酸で二重固定し, 小塊のまま酢酸ウラニウム液で染色し, アルコール・アセトン系列で脱水後エポン樹脂に包埋し, 切片をクエン酸鉛液で二重染色を施した後, 電顕で観察した. 性細胞の不完全分裂結果できる細胞質間橋は, 性細胞の各段階(精祖, 精母, 精子細胞)でみられた. 間橋は, 初め中間体(midbody)と呼ばれる紡錐糸の集束遺残物が形成される時点に確立し, その内部は直ぐに滑面小胞体を重ねた多重cisternae構造(bridge-partitioning com-plex)に移行し, 細胞質の流通を塞ぐ形を示す. 前後して, 間橋の細胞膜内側は密度の高い内張りの構造物(bridge density)で裏打ちされ, 内張り構造は間橋が開通後も, 精子遊離(spermiation)後の細胞質分屑(residual cytoplasm)に至るまで維持された. 間橋内には小器官等, ほとんどすべての細胞質成分が出現した. 間橋は基本的には円筒状の立体構成をしているので, 精母細胞の段階までは, 縦断切片において, 二本の平行線あるいはカスガイ形ないし樽形の像として現れ, 外側をセルトリー細胞の扁平な細胞質に囲繞されている. しかし, 精子細胞の成熟につれて間橋は姉妹細胞に圧されるように太く短くなり, 切片上でその側面は馬蹄形あるいは小半円状の孤を画く像となり, セルトリー細胞との接触面が減少した. ヤギの性細胞間橋は, 他の哺乳動物におけると同様, 1)姉妹細胞間の成熟・変態の同期化, 2)姉妹細胞間の物質交換, 3)精細管内の定位, 移動(精上皮ウエーブの規定), 4)細胞分裂の規制(精上皮サイクルの統合)等, 極めて重要な働きをもつことが示唆された.
  • 宮原 和郎, 横尾 直也, 櫻井 治久, 五十嵐 郁男, 坂田 優, 吉田 豊, 齋藤 篤志, 広瀬 恒夫, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 2 号 p. 221-228
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    20-methylcholanthrene(MC)自家誘発腫瘍担癌ラットにトキソプラズマ溶解抗原(TLA)を投与すると, 腫瘍増殖の抑制が観察された. このTLAの抗腫瘍効果は腫瘍が小さいほど明瞭に観察された. また, 腫瘍形成前にTLAを投与されたラットでは, 僅かながら腫蕩形成の遅延が認められた. 腫瘍部の病理組織学的検索では, 無処置対照ラットにおいて紡錐形腫瘍細胞の密な増殖が特徴的であったのに対して, TLA治療されたラットではリンパ球および好中球の浸潤を伴った広範な中心壊死が観察された. 抗Thy-1抗体を用いた腫蕩部の免疫組織学的検索では, 無処置対照ラットでは僅かな小型陽性細胞が認められたのに対して, TLA治療ラットでは顆粒を持つ大型陽性細胞が散在性に認められた. これらの結果から, TLAがラットのMC自家誘発腫瘍に対して, 宿主介在性の抗腫瘍効果を発現する有効な生体応答修正・修飾物質の一つであることが示された.
  • 古林 与志安, 島田 章則, 梅村 孝司, 長井 武雄
    1992 年 54 巻 2 号 p. 229-233
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鳥取市街の川に放されていたコブハクチョウ9羽中8羽が1989年夏の約1力月の間に相次いで死亡し, 8羽中7羽について病理学的に検索した. 全例の肝細胞の細胞質内に黄褐色ないし緑褐色の多数の微細顆粒状色素が沈着していた. 顆粒は銅染色, リポフスチン染色および鉄染色に対し強陽性を示した. これら顆粒は超微形態学的には, 高い電子密度を有する腫大したライソゾームに一致していた. 他の場所で死亡し, 対照として用いられたハクチョウにも褐色顆粒は認められたが, 銅染色陽性顆粒は罹患例と比べ著しく少なかった. X線定性分析により対照例を含む全例の肝臓に銅, 亜鉛およびナトリウムのピークが出現した. 肝臓内のこれらの元素を定量分析したところ, 罹患例の銅の値が著しく上昇していた(p<0.01). 以上の所見より, 7例全例を銅中毒症と診断した.
  • 後藤 仁, 高井 学, 井口 弘之, Benkele Wilmot, 太田 千佳子, 山本 泰弘, 喜田 宏, 野呂 新一, 桜田 教夫
    1992 年 54 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1985-90年に採取した4,080例の屠殺豚血清について,各A型インフルエンザウイルスに対する抗体調査をおこなった. 豚型の A/New Jersey/76(HlNl)株に対する抗体陽性豚は, 月によってばらつきがあるが, 観察期間を通じて検出された. 北海道で分離された最近のソ連型ウイルス( HlNl )株に対しても, ヒトでの同型ウイルスの流行後に, それぞれ数か月にわたって抗体陽性豚が観察された. また香港型ウイルス(H3N2)株に対する抗体陽性豚は, 1985-87年間において, ヒトでの同型ウイルスの流行の有無と関係なく検出された. これら3種のウイルス抗体については, これまで我々を含む多くの研究者による調査結果と, 同様の成績が得られた. しかし, 1983-88年分離のH3N2ウイルス株に対する抗体陽性豚は, 1988年にはほとんどみられず,1989年にいたって初めて検出された. さらに, 1989年分離のH3N2ウイルス株に対する抗体陽性豚は, 1988年冬にヒトで同型ウイルスによる激しい流行があったにも拘らず, 1988-90年を通じて検出されないなど, これまでの調査結果と著しく異なる成績が得られた.
  • 熊澤 教眞, 岩尾 健, 森本 直樹
    1992 年 54 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アマオブネガイ科巻貝類に属するアマオブネとアマガイの血液細胞は腸炎ビブリオと大腸菌の生菌浮遊液に対して走化性を示した. アマオブネの血液細胞の走化性はアマオブネの血漿の存在下で亢進したが, アマガイの血液細胞の走化性はアマガイの血漿の存在下で亢進しなかった. これらの貝の血液細胞の走化性はこれらの貝からの腸炎ビブリオのすみやかな排除に関与していると考えられる.
  • 下田 実
    1992 年 54 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ブタ血漿中H4葉酸(THF)および5メチルH4葉酸(5 MF)の電気化学検出を用いたHPLC法による分析を検討した. ブタ血漿サンプルは過塩素酸で除タンパクした後にHPLCシステムに注入した. 分析力ラムはフェニルカラム, 移動相は0.1mM EDTAを含む20mM酢酸緩衝液(pH3.6)とアセトントリルの混合液(96.5:3.5)を用いた. 検出器の印加電圧は300 mVを用いた. この分析条件で, ブタ血漿中のTHFと5 MFはそれぞれ良好に分離した. 検出限界はTHFでは0.15 ng/ml, 5 MFでは0.13 ng/mlであった(SN比=3). THFおよび5 MFの血漿へ添加した後の回収率は, それぞれ77.6±2.1%, 83.0±1.7%(平均±SD, n=5)であった.
  • 梁 萬表, 後飯塚 僚, 辻本 元, 長谷川 篤彦
    1992 年 54 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ白血病ウイルス感染B細胞性リンパ腫細胞株(BL2M3及びBL312)の培養上清の自己細胞株に対する効果についてヒトの各種サイトカインによる増殖効果と比較して解析した. その結果, BL2M3およびBL312細胞のいずれの培養上清にもBL2M3細胞の増殖促進効果が認められた. これらの培養上清中のBL2M3細胞増殖促進因子(BL2M3-GPF)の生化学的性状について検討したところ, BL2M3-GPF活性はpH2の酸およびpH10のアルカリ処理で失活し, また, 60℃, 30分間の熱処理でも失活した. BL2M3細胞はBL2M3-GPFを添加して培養すると単細胞の状態で増殖したのに対し精製low molecular weight B-cell growth factor(LMW-BCGF)を添加した場合, 集塊を形成して増殖した. 一方, IL1-αおよびβ, IL2, IL6, 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)ならびに腫瘍壊死因子(TNF)αはいずれもBL2M3細胞の増殖を促進しなかった. 以上のことから, BLV感染リンパ芽球様B細胞株は既知のIL1, IL2, IL6, G-CSF, TNF-αおよびLMW-BCGFとは異なるBL2M3-GPFを産生し, そのBL2M3-GPFに反応して増殖することが示された.
  • 川口 生世, 林谷 秀樹, 金子 賢一, 小川 益男, 辧野 義己
    1992 年 54 巻 2 号 p. 261-267
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏の呼吸器官(鼻腔, 舌, 咽喉頭, 気管および肺)の細菌叢におよほす飼育方法:アイソレーター法(A群), バタリー法(B群)および平飼い法(C群)の影響について検索した. A群の鼻腔内菌数は生後14日目で材料1グラムあたり104.6個であり, B群は28日目で105.7, C群は28日目で107.0の菌数であった. 全群共通してStaphylococcusとMicrococcusが最優勢に分離された. 舌および咽喉頭部位では菌数にして1O5.4~106.5の細菌が分離され,咽喉頭部位ではLacobacillusが最優勢に検出された. 気管では分離菌数は他部位に比べてはるかに低く, StaphylococcusおよびMicrococcusのみ分離された. BとC群の肺におけるStaphylococcusおよびMicrococcusは優勢菌群であったが, Lacto bacillusの菌数および出現頻度は他の部位に比べて低く, さらに, A群の肺ではClosridiumのみ検出された. 呼吸器官の全部位および腸管におけるLacto bacillus菌種の分布を調べたところ, 75株が分離され, 生理・生化学的性状により19菌群に分けられた. 舌および咽喉頭より優勢にL.salivarius subsp. salivariusが分離され, 腸管ではL.acidophilusグループおよびL.reuteriが主に分離された.
  • 林 正信, 遠藤 大二, 昆 泰寛, 山下 匡, 橋本 憲佳, 佐藤 文昭, 笠井 憲雪, 波岡 茂郎
    1992 年 54 巻 2 号 p. 269-273
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肝炎を自然発症するLECラットは現在まで報告されているよりかなり低い線量で急性放射線小腸障害死を起こすことが示された. 急性小腸障害死は対照のWKAHラットでは12.8Gy以上の線量でX線で全身照射された場合に見られ, LD50/7は12.99Gyであった. これに対し, LECラットでは6.5Gy以上の線量で照射された場合でも小腸障害死が見られ, LD50/7は7.03Gyであった. プロビット解析によってLECラットは有意に急性放射線障害に感受性であることが示された. 8.5Gy全身照射したLECラットの小腸微絨毛はドーム状に変化していることが認められたが, WKAHラットではその様な変化は認められなかった. LECラットは放射線障害を検討する上で重要なモデル動物となると考えられる.
  • 小坂 俊文, 桑原 正人, 小出 英興
    1992 年 54 巻 2 号 p. 275-279
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    組み替え型ヒト腫傷壊死因子(rhTNF)によるマウス由来L929細胞におけるDNAフラグメンテーションの誘発についてアルカリ溶出法を用いて検討を行った. rhTNF処理で生じたDNAフラグメントのアルカリで溶出される量はX線による場合とは異なっており, このことよりX線により誘発されるDNA単鎖切断とは異なるものと考えられた. また, rhTNFによるDNAフラグメンテーションは処理時間および濃度依存性に認められた. rhTNFにより誘発されるDNAフラグメンテーションと細胞障害性との間に強い相関関係が認められたが, 他の障害も関与していることが考察された. DNAのプロテネースKによる消化でrhTNFによるDNAフラグメンテーションは増加されず, これらの結果より, L929細胞におけるrhTNFの細胞障害性はDNAフラグメンテーションの誘発に関与し, DNA-タンパク質のクロスリンキングに関与していないことが示唆された.
  • 諏佐 信行, 上野 俊治, 古川 義宣
    1992 年 54 巻 2 号 p. 281-288
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    HeLa細胞を用いて, 6価クロム(K2Cr2O7)の増殖抑制効果および細胞のクロム取込みに対する6種のチオール化合物の影響について検討し, 以下の成績を得た. 1)6価クロム2.5μM処理3日後における細胞の増殖抑制の程度は, チオール化合物25-100μM との同時併用処理により軽減された. 2)6価クロム(10μM)およびチオール化合物(12.5~100μM)含有水溶液中において, 6価クロムの還元が認められた. 3)6価クロム(10μM)処理6時間後における細胞のクロム含有量は, チオール化合物(25-100μM )との同時併用処理により減少した. 4)培養液への6価クロム(5μM)の添加前あるいは添加後1時間にチオール化合物(100μM)を添加した場合, クロムの細胞毒性および細胞のクロム取込み量に顕著な変化は認められなかった. 以上の成績から, 試験したチオール化合物のうち,特にL-cysteine ethyl ester, L-cysteine methyl ester, 2, 3-dimercaptosuccinic acidおよび2, 3-dimercapto-1-propanesulfonic acidは, 6価クロムとの同時併用処理により, 6価クロムの細胞毒性を軽減することが明らかとなり, この効果は, 6価クロムの還元を伴う細胞のクロム取込み量の減少に起因すると考えられた.
  • 高野 洋志, 稲元 民夫, 扇元 敬司, 中井 裕
    1992 年 54 巻 2 号 p. 289-292
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニワトり消化管におけるCryptosporidiumの消長をSEMにより調べた. 回腸, 盲腸, 結腸, 総排他腔およびファブリシウス嚢に寄生が認められ, 感染のピークは下部消化管ほど遅く出現する傾向が見られた. 腸のどの部分でもトロフォゾイトとシゾントが最も多く, マクロガモントがそれに次いで多く観察されたが, オーシスト接種後60時間目の回腸と盲腸ではマクロガモントは認められなかった. ミクロガモントはオーシスト接種後36時間目の回腸と19日目のファブリシウス嚢でわずかに認められた. オーシスト接種後48時間目の回腸と19日目のファブリシウス嚢ではオーシストが認められた.
  • 泉対 博, 佐藤 国雄, 畠山 英夫
    1992 年 54 巻 2 号 p. 293-296
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マイトーゲンにより活性化した牛末梢血リンパ球から作出したIL-2依存性株化牛T細胞を使用し, 白血病発症牛の血清中に認められる免疫抑制作用機序を, リンホカインとリンパ球の相互作用を中心に検索した. 白血病発症牛の血清中には,高率にコンカナバリンAの刺激によるリンパ球活性化を, 抑制する作用があることが観察された.更に, IL-2存在下でIL-2依存性牛リンパ球の増殖が抑制されることや, 牛リンパ球からのIL-2産生が低下することが認められ, 特に後者はマイトーゲンによるリンパ球活性の変化と相関関係があることが示された. これらのことにより, 白血病発症牛血清中のリンパ球活性化抑制作用の要因として, IL-2によるリンパ球の活性化を抑制する作用および活性化したリンパ球のIL-2産生を抑制する作用がともに働いていることが示された.
  • 金井 克晃, 川上 速人, 金井 (東)正美, 九郎丸 正道, 平野 寛, 林 良博
    1992 年 54 巻 2 号 p. 297-303
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス胎仔生殖腺の分化にともなう生殖細胞内のLewis x (Lex)抗原の局在変化を光顕および電顕レベルで免疫組織化学的に検討した. 交尾後12日齢の未分化生殖腺において, anti-Lex monoclonal antibody (MAb)は, 生殖細胞の細胞膜および細胞質内の"small dense body" (SDB)に陽性反応が認められた. 性分化後(13日齢)の雄においては, 生殖細胞は精巣索に取り囲まれ, anti-Lex MAbの反応は, SDBにのみ認められ, 細胞膜への反応性はほぼ消失した. 一方, 同胎仔の精巣外に取り残された生殖細胞(異所性の生殖細胞)では, 細胞膜に明らかに陽性反応が認められ, また同時期(13日齢)の卵巣においても, 生殖細胞の細胞膜に陽性反応が観察された. 以上の結果より, このような生殖細胞の分化にともなう細胞膜および細胞内のLex抗原の局在の変化は, 雄の生殖細胞が精巣索に取り囲まれることに深く関連していることが示唆された.
  • 河津 信一郎, 杉本 千尋, 神尾 次彦, 藤崎 幸蔵
    1992 年 54 巻 2 号 p. 305-311
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    T. sergentiおよびT. buffeliのピロプラズムより調整したmRNAを鋳型として, それぞれのλgtll cDNAライブラリーを作製した. 各ライブラリーからT. sergentiの表在性主要抗原(分子量33kDa)を発現する1クローン(TSI 5)およびT. buffeliの同抗原(分子量34 kDa)を発現する2クローン(TBW 17, 62)をイムノスクリーニングにより選択し溶原菌を作製した. ウエスタンブロットにおいてT. sergenti免疫家兎血清はTSI 5の発現する融合蛋白質とのみ強く反応し, またT. buffeli免疫家兎血清はTBW 17及び62の発現する融合蛋白質とのみ強く反応した. 一方, 各原虫感染牛血清はすべての融合蛋白質と同様に反応し, またT. sergentiの分子量33 kDa抗原を認識するモノクローナル抗体もこれらすべての融合蛋白質と反応した. 以上の成績から, クローンTSI 5およびTBW 17, 62はともに, 感染牛血清によって認識される共通のエピトープと免疫家兎血清によって識別される種特異的なエピトープの両者を含む原虫主要抗原分子を発現していることが推測された. これらの組換え体から調整したDNAプローブは両原虫のゲノムDNAとの間で種特異的な反応性を示し, 株同定などの研究に応用できるものと思われた.
  • 草薙 公一, 桑原 博義, 加藤 哲雄, 布谷 鉄夫, 石川 義久, 鮫島 都郷, 田島 正典
    1992 年 54 巻 2 号 p. 313-318
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚流行性下痢症ウイルス(PEDV)が豚の急性下痢症から分離され, 子豚で継代された豚コロナウイルス83P-5株に実験的感染した子豚の小腸からVero細胞培養に分離された. PEDVの分離は, トリプシンを添加した維持培地(MM)で保持したVero細胞においてのみ成功した. 感染Vero細胞は, 細胞融合と合肥体形成を特徴とするCPEを示し, かつ抗83P-5ウイルス家兎血清を用いた間接蛍光抗体法により細胞質に特異蛍光を示した. この分離株は, トリプシン添加MMで保持したVero細胞培養で連続継代し得るように順化された. Vero細胞順化PEDVは, トリプシンを含むMMで保持したMAl04, CPK及びESK株化細胞においても増殖した. Vero細胞順化PEDVは, コロナウイルス科の他のウイルスの形態学的及び理化学性状に類似の特性を有していた. しかしながら血清学的には豚伝染性胃腸炎ウイルス及び血球凝集性脳脊髄炎ウイルスとは異なり, また間接蛍光抗体法により豚伝染性胃腸炎ウイルスとの抗原的関係は認められなかった. 6種類の豚胎子初代細胞及び10種類の株化細胞を用いてPEDVの分離及びVero細胞順化PEDVの増殖を試みたが4種類の株化細胞(Vero, MAl04, CPK, ESK)を除いてはすべて失敗に終った. 失敗の原因は, これらの細胞がトリプシンの作用によって強い傷害を受けるためであろうと考えられた.
  • 佐藤 英明, 宮本 庸平, 宮本 元
    1992 年 54 巻 2 号 p. 319-323
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    細胞表層物質の抽出に有効な溶液とされている尿素(1M)・EDTA(5mM)を含むトリス緩衝液(10 mM)でブタの顆粒膜細胞(層状の顆粒膜細胞集団を含む)を培養し, 経時的な形態変化と顆粒膜細胞からの物質の分離の様相を調べた. 培養30分以内では顆粒膜細胞はトリパンブルーに染色されなかったが, 培養時間が長くなると染色される細胞数が増加した. 電顕的に観察すると核の形態や細胞の大きさに変化がみられたものの, 細胞膜は培養開始後30分までは正常であったが, さらに培養を続けると細胞膜の崩壊や細胞融解などの退行像が観察されるようになった. 分離されるタンパク質や51Cr結合物質の量は培養開始後15分間で顕著であり, 15~30分の間では少なく, 30分以後再び急増する傾向を示した. 以上のことから尿素・ EDTAで顆粒膜細胞を30分間培養した場合に分離されてくる物質の大部分は細胞表層物質や細胞間物質である可能性の高いことが示唆された.
  • 今田 由美子, 原澤 亮, 小谷 均, 輿水 馨
    1992 年 54 巻 2 号 p. 325-328
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    未分類の犬由来ウレアプラズマ菌株間の抗原の関連性を知るため, 犬由来株4血清群の代表株4株と既知のウレアプラズマ5菌種の基準株5株について全菌体の蛋白質をSDS-PAGEならびにウエスタンブロッティングにより比較した. その結果, 各菌株はそれぞれ独自のSDS-PAGEパターンを示し, ウエスタンブロッティングによる反応パターンは株の差異がさらに明瞭であった. ウエスタンブロッティングにおいて既知の5菌種に対する抗血清はホモロガスな菌株と強く反応し, ヘテロロガスな菌株とは殆ど反応しなかった. 同様に, 犬由来株に対する抗血清もホモロガスな菌株と強く反応し, 既知の5菌種とは低い交差性を示すに過ぎなかったが, 大由来4菌株の間では相互の関連性を伺わせる種々の程度の片交差反応を示した.
  • 本澤 明彦, 山崎 仁之, 門田 耕一
    1992 年 54 巻 2 号 p. 329-333
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    9カ月齢の雑種雄猫に侵襲性線維腫症(腹壁外デスモイド)が認められた. 右前腕はほぼ完全に線維性組織に置換されており, 肩から顎にかけて数個の腫瘤が存在していた. これらの腫瘍様組織は豊富な膠原線維とまばらなよく分化した線維芽細胞より成っていたが, 増殖態度は侵襲性で, 被膜を持たなかった. 一部の領域では,未熟な線維芽細胞と多核巨細胞の密な増殖がみられた. ヴィメンチン染色と電顕観察により巨細胞は線維芽細胞と密接な関連を持つことが示唆され, このような領域が細胞増殖の場と思われた. 今回の症例は結節性筋膜炎とは明らかに異なっており, 猫の腫瘍原性レトロウイルスにより誘発された増殖性疾患であると考えられた.
  • Lavilla Apelo, 喜田 宏, 金川 弘司
    1992 年 54 巻 2 号 p. 335-340
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    透明帯非除去および除去したマウス桑実期胚を in vitroでセンダイウイルスに感作したのちに一部の胚は感作後48時間培養し in vitroでの発育を, また一部の胚は偽妊娠雌マウス子宮内に移植して in vitroでの発育を検討した. 両群とも, 48時間の培養後に高率に拡張肝盤胞に発育した. 透明帯非除去胚は感染に抵抗して移植後には産子に発育し, 透明帯ウイルス感染の障壁となっていることを示した. これに反して, 透明帯除去胚はウイルスに感染しやすく, 移植した64個のうち僅かに1個の胚が産子に発育したのみであった. 透明帯除去胚の培養液中にウイルスが存在することから, 胚細胞においてウイルス増殖が起っていることが示唆された. 免疫蛍光抗体法により, 透明帯除去胚および透明帯除去胚から発育した胎児の組織にウイルス抗原の存在が確認された. 以上の結果から, 胚細胞におけるセンダイウイルスの増殖が胚の初期発生および胎児への発育を阻害することが示唆された.
  • 西村 亮平, 望月 学, 田浦 保穂, 佐々木 伸雄, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 2 号 p. 341-344
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    黒毛和種牛の手根、足根関節以遠の各関節軟骨に多発する潰瘍性病変の, 発生時期および病変の進行に関連する因子を明らかにするために, 107頭の子牛を用いてX線学的調査を行った. その結果本病変は非常に幼若な時期に発生が認められること, また本病変の進行と体重の増加には密接な関連があることが示された.
  • 兼丸 卓美, 鎌田 正信, 和田 隆一, 安斉 了, 熊埜御堂 毅, 吉川 博康, 吉川 堯
    1992 年 54 巻 2 号 p. 345-347
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1980年の馬伝染性子宮炎の流行中に, 罹患馬から分離されたTaylorella equigenitalisのTo-84株接種雌馬の生殖器について超微形態学的に観察した. その結果, in vivoにおけると同様に, 糸状あるいは放射状の線毛を有した多数の本菌が子宮腔および子宮腺腔内に認められた. その一部の菌は, 自らの線毛によって粘膜上皮細胞の線毛や粘膜上皮細胞の表面に付着していた. このことから本菌の線毛が子宮粘膜面への付着に深く係わりのあることが示唆された.
  • 斎藤 慶子, Sakpuaram Thavajchai, 福安 嗣昭, 芦田 淨美
    1992 年 54 巻 2 号 p. 349-350
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血清型5型菌であるA.pleuropneumoniae K17 (subtype a), L20 (subtyPe b)およびTA 10の血清学的特異性について検討した. その結果, 非吸収抗血清におけるRSA, TA, IHAおよびIDでは, それぞれ反応の程度が異なるものの3菌株間にいずれも交差反応性が認められた. しかし, 吸収試験において各菌株に特異性が認められ, TA10はRSAおよびIHAでsubtype bに型別されたが, TAおよびIDではL 20との間に血清学的な不均質性が認められた.
  • 藤井 靖大, 牧 与志幸, Claveria Florencia G., 五十嵐 郁夫, 齋藤 篤志, 小野 憲一郎, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 2 号 p. 351-353
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    新規の免疫調整物質, 合成オビオペプチド-1(OP-1)が天然オビオアクチンと同様にマウス腹腔マクロファージ(MP)内トキソプラズマ(TP)の増殖抑制あるいは殺減作用に関与するか否かについて検討した. OP-1 0.05mg/mlおよび0.5mg/ml添加培養48時間におけるMP内TP増殖抑制(Toxo-GIF)率は非添加培養MPに比較して51.8%および57.5%を示し, 明らかにMPはトキソプラズマ増殖を抑制した. 一方, 対照としてのオビオアクチン(5.0mg/mlおよび正常牛処理血清(5.0mg/ml))添加培養によるMPのToxo-GIF活性は, それぞれ65.8%および30.3%を示した. OP-1添加(0.05mgおよび0.5mg/mZ)培養MP(1x108細胞数)のスーパーオキサイド(O-2)産生は, それぞれ2.01nmolおよび1.58nmolであり, 非添加MPの1.34nmolに比較して明らかに高値を示した. また, このOP-1添加MPのグルコース消費は38.0±8.2mg/dlで非添加培養MPの24.8±3.9mg/dlに比較して有意に増加した. マクロファージ機能活性の一つの指標とされるラッフル形成も0P-1添加培養によって, より著明に観察された. これらの結果から, 0P-1はオビオアクチンと同様にMPを活性化し, MP内原虫殺滅機能を充進される合成ペプチドと考えられた.
  • 清水 晃, 尾崎 潤一郎, 河野 潤一, 斉藤 吉広, 木村 重
    1992 年 54 巻 2 号 p. 355-357
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    検索した8種類の動物およびヒトの皮膚からブドウ球菌が高率に分離された. 動物で分離頻度の高かった菌種はノボビオシン(NB)抵抗性のもので, なかでもStaphylococcus xylosusがブタ, ウシ, ウズラ, ニワトリ, マウス, ラットの皮膚に広く分布していることがわかった. また, ニワトリからはNB感受性のS. aureusとS. hyicusも比較的多く分離された. ヒトから分離されたブドウ球菌はすべてNB感受性の菌種であった.
  • 岡崎 則男, 藤原 公策
    1992 年 54 巻 2 号 p. 359-361
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    調べた10菌種のマイコプラズマ中, Mycoplasma pneumoniae, M. fermentans, M. neurolyticum および Acholeplasma laidlawii の4菌種に対してウマ血清(HS)の殺菌作用が認められた. 前2者に対する作用にはHSのグロブリン画分と補体が関与し, 後2者に対してはこれら因子の関与はないものと推察された. HSのM. pneumoniae 殺菌作用には, IgG-IgM複合体の関与が強く示唆された.
  • Zain Zaini bt. Mohd, 入谷 好一
    1992 年 54 巻 2 号 p. 363-365
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1987年から1989年にマレーシアで分離したヘモフイルス・パラガリナルム10株の血清型別を赤血球凝集反応, 赤血球凝集抑制反応およびドット・ブロッティング法により調べた. 分離株はいずれも血清型Aに属し, C型は認められなかった. マレーシア分離株で免疫された鶏は, 221株同様に分離マレーシア株中の強毒株の攻撃に対し防御効果を示した.
  • 高橋 滋, 深水 昭吉, 杉山 文博, 梶原 典子, 八神 建一, 村上 和雄
    1992 年 54 巻 2 号 p. 367-369
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウスに大腸菌のリポ多糖類(LPS)を投与し, 急性期反応を誘発した時にアンギオテンシノーゲン(AG)mRNAレベルがどのように変化するかを, ヒトAG遺伝子導入(トランスジェニック)マウスを用い, マウスとヒトAG遺伝子を特異的に検出できるDNAプローブを利用してNorthern blot法で調べた. その結果, マウスとヒトAGmRNAの発現は, LPSまたはグルココルチコイドの単独投与6時間後では誘導されなかった. 一方, マウスAGmRNAの発現は, LPSとグルココルチコイドの相乗作用によって上昇した. しかしヒトAGmRNAは, 本実験条件下では誘導されなかった. また, マウスにおける代表的な急性期タンパクであるSerum Amyloid P mRNAは, 同一のトランスジェニックマウスで急性期反応によって誘導された. 以上の結果から, トランスジェニックマウスの急性期反応時に, 内在性のAGmRNAと外来性のAGmRNAが異なる発現調節を受けていることが示唆された.
  • 荘 文忠, 服部 雅一, 小沼 操, 児玉 洋
    1992 年 54 巻 2 号 p. 371-373
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)を免疫したウサギ, あるいはIHNV実験感染ニジマスにおける抗ウイルス抗体の産生を, 哺乳類IgGへのプロテインA-セファロース法を用いて検討した. 精製IHNV免疫ウサギにおいて高力価の抗原結合性抗体が産生されたが, ウイルス中和抗体価は非常に低かった. ニジマスにおいては中和抗体は全く検出されなかったが, 間接プロテインA-セファロース法を用いると, ウイルス非中和抗体が接種2週後に検出され, 抗体価は8週後に最高となった. また, ウイルス感染魚肝から分離されたウイルスは本法を用いることにより, IHNVと同定された.
  • 清水 眞也, 細谷 尚子, 溝本 朋子, 近藤 寧子
    1992 年 54 巻 2 号 p. 375-377
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1987年4月から1990年3月までの期間における千葉県での搾乳牛(舎飼)の小型ピロプラズマ病の発生率を千葉共済連合会の診療記録から求めた. その結果, 搾乳牛における飼育頭数に対する小型ピロプラズマ病の発生率は約0.24%で, 育成牛では約1.1%であった. 搾乳牛における小型ピロプラズマ病の発生率は育成牛に比較して低いが, 搾乳牛においても同疾病の発生することが明らかとなった. また, 117頭の搾乳牛の小型ピロプラズマ感染率を血液塗抹の鏡検とELISAで調べた. その結果, 検査牛全てに臨床的な変化が認められなかったにもかかわらず, 41%の搾乳牛が小型ピロプラズマに持続感染していることが判明した. 持続感染牛では妊娠, 中毒, 気候や食物の変化, 感染などが引き金となり, 発症する可能性があるものと推察される.
  • 藤瀬 浩, 東島 美香, 坂本 陽子, 其木 茂則, 久松 伸, 小川 絵里, 高橋 令治
    1992 年 54 巻 2 号 p. 379-381
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アデニン化合物をクロロアセトアルデヒドで蛍光誘導体(1, N6 -etheno化合物)とした後,高速液体クロマトグラフィーで分離したものを蛍光で測定する方法を検討し, 犬赤血球アデニン化合物測定に応用した. 本法で犬赤血球内ATP, ADP, AMPは, それぞれ506±79, 91±17, 51±2nmol/ml cells(1.38±0.22, 0.25±0.05, 0.14±0.05nmol/mgHb, n=5)であった. また, アデノシンおよびアデニンは検出限界の8.7nmol/ml cells以下であった. ATP産生系基質あるいは解糖阻害剤存在下での, 赤血球内ATP, ADP, AMP濃度の増減が, 本法で感度よく追跡できた.
  • 高瀬 公三, 内村 哲也, 山元 通孝
    1992 年 54 巻 2 号 p. 383-386
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏のトリレオウイルス(ARV)感染症に対する能動免疫を, Footpad攻撃後のFoot-pad肉眼病変で評価し, 防御能と中和抗体価の関係を検討した. 生ウイルス(58-132株)を経口投与された鶏は, 同ウイルスの不活化抗原を筋肉内接種された鶏に比べて, より良好な防御能を獲得していた. この時, 攻撃前の血中中和抗体価は前者よりも後者の方で明らかに高かった. この生ウイルス経口投与鶏での防御能は, 中和抗体のまだ産生されていない投与後2~4日目から出現してくることが判った.
  • 奈良間 功, 尾崎 清和, 前田 博, 大田 昭彦
    1992 年 54 巻 2 号 p. 387-389
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    12歳の雄のマルチーズの左後肢趾蹠部上方に発生した径約1.5cmの皮膚乳頭腫を組織学的並びに電顕的に検索した. 病変は典型的な角質化乳頭腫の組織学的特徴を示し, 表層の肥大した表皮細胞に好塩基性核内封入体が認められた. 核内封入体は電顕的に直径41~49 nm (平均45 nm)の様々な電子密度を示すウイルス粒子, ウイルス粒子に接続する管状構造および分枝管状構造から構成されていた. 本例はウイルス産生性の皮膚乳頭腫であった.
  • 町田 登, 中村 孝, 桐生 啓治
    1992 年 54 巻 2 号 p. 391-393
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    心電図検査で2枝ブロックを示した猫の心臓を病理学的に検索した. 病理組織学的に右脚は, 三尖弁中隔尖付着部領域において著しく増生した心内膜下の結合組織により圧迫され非薄化していた. また左脚前枝は, 心室中隔上部に形成された広範な線維化病巣と接しており, その部位に一致して脚線維の萎縮, 消失ならびに線維化が認められた. これらの病理学的変化が, 本例における2枝ブロックの発生に係わっていたものと推察された.
  • 鎌田 信一, 大川 淳, 伊藤 整, 柿市 徳英, 小峯 健一, 松永 敏幸, 林 正利, 杉山 公宏, 大塚 宏治, 浦 重義, 内田 和 ...
    1992 年 54 巻 2 号 p. 395-397
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    抗ペニシリナーゼの高感度検出法開発のため, 抗ペニシリナーゼIgGを作製し, そのIgGを用い, ペニシリナーゼの存在を間接法であるWestern blotting法(マウス抗ペニシリナーゼ100倍希釈液)で分子量約25,000の部位に単一バンドがペニシリナーゼ量で3.13μg/mlまで認められた. また, 酵素免疫測定法では抗体希釈1:217(ペニシリナーゼ量1.0μg/m/)希釈までの力価を測定することができた.
  • 平子 誠, 加茂前 秀夫, 百目鬼 郁男
    1992 年 54 巻 2 号 p. 399-402
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    簡易逆相カラム(SEP-PAK C18)を用いて牛血漿中のエストロン(E1)とエストラジオール-17β(E2)の固相抽出を試みた. その結果, E1, E2ともに血漿の適用量(5~15ml)にかかわらず94%以上の高い回収率が得られ, 本法が牛血漿中エストロジェンの抽出法として有効であることがわかった. また, E1とE2はともに50~70%のメタノールで溶出してくること, 本カラムが5回以上の繰り返し使用に耐えることもわかった.
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