抄録
新規の免疫調整物質, 合成オビオペプチド-1(OP-1)が天然オビオアクチンと同様にマウス腹腔マクロファージ(MP)内トキソプラズマ(TP)の増殖抑制あるいは殺減作用に関与するか否かについて検討した. OP-1 0.05mg/mlおよび0.5mg/ml添加培養48時間におけるMP内TP増殖抑制(Toxo-GIF)率は非添加培養MPに比較して51.8%および57.5%を示し, 明らかにMPはトキソプラズマ増殖を抑制した. 一方, 対照としてのオビオアクチン(5.0mg/mlおよび正常牛処理血清(5.0mg/ml))添加培養によるMPのToxo-GIF活性は, それぞれ65.8%および30.3%を示した. OP-1添加(0.05mgおよび0.5mg/mZ)培養MP(1x108細胞数)のスーパーオキサイド(O-2)産生は, それぞれ2.01nmolおよび1.58nmolであり, 非添加MPの1.34nmolに比較して明らかに高値を示した. また, このOP-1添加MPのグルコース消費は38.0±8.2mg/dlで非添加培養MPの24.8±3.9mg/dlに比較して有意に増加した. マクロファージ機能活性の一つの指標とされるラッフル形成も0P-1添加培養によって, より著明に観察された. これらの結果から, 0P-1はオビオアクチンと同様にMPを活性化し, MP内原虫殺滅機能を充進される合成ペプチドと考えられた.