Journal of Veterinary Medical Science
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毒素産生 Pasteurella multocida A型による豚萎縮性鼻炎の発生
阪野 哲也種田 貴至岡田 宗典小野 雅明小林 洋一佐藤 静夫
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1992 年 54 巻 3 号 p. 403-407

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抄録
豚萎縮性鼻炎(AR)が発生している1養豚場について調査したところ, AR症状は5週齢以下の豚群では認められなかったが, 2カ月齢以上の約60%の豚に認められた. 屠場出荷豚の鼻甲介は全頭とも萎縮していた. この養豚場で飼養中の2及び5週並びに2, 4及び6カ月齢の各10頭について, 鼻腔からの菌分離を行ったところBordetella bronchiseptica は発症前及び発症直後の豚群(2週~2カ月齢)からは分離されず, またPasteurella multocida D型は全頭から分離されなかった. 一方, 毒素産生 P.multocida A型が発症前及び発症直後の豚群から高率に分離された. 5週齢の発症豚から分離した毒素産生 P.multocida A型ZF-899株を36日齢のPrimary Specific-Pathogen-Free豚の鼻腔内に5日間接種し, 3週後に剖検したところ, 全頭の鼻甲介が重度に萎縮していた. これらの成績から, 毒素産生 P.multocida A型による重度なARの発生が我国において初めて確認された.
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