Journal of Veterinary Medical Science
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オーエスキー病TK-・gpIII遺伝子欠損変異生ワクチンの予防効果に及ぼすワクチン投与方法の影響
長谷部 博昭Osorio Fernando A.Hogg AlexLiavw HardiBartkoski Michael J.杉山 公宏
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1992 年 54 巻 4 号 p. 693-698

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抄録
TK及びgpIII遺伝子欠損変異オーエスキー病生ワクチンの投与法が, その免疫効果に影響を及ぼすか調査した. 試験豚として生後6週齢のSPF豚25頭を用い, TK-・gpIII-オーエスキー病(以下:AD)生ワクチン104.0TCID50/2mlを10頭には頚側皮下組織(皮下注群)に, 他の10頭には臀部筋肉組織(筋注群)に接種した. 接種22日後, AD野外強ウイルス(Becker株:1.58×104.0TCID50)をワクチン非接種対照豚5頭を含め, 鼻腔内噴霧により攻撃した. その結果, 対照群では5頭中4頭が強毒株攻撃後12日以内に死亡したが, ワクチン接種群では死亡豚はみられなかった. しかし, 皮下注群では3頭が臨床症状を示し, この群の1日当りの平均増体量も筋注群にくらべ, 強毒株攻撃13日後から低く推移した. ワクチン接種8日及び14日後の中和抗体価は, 両群ともにほとんど陰性で, 試験群間の有意差も認められなかった. しかし, gpIIスクリーニングELISAによる比較では, 筋注群がワクチン接種14日後に100%陽性を示したのに対し, 皮下注群では30%のみが陽性であった. 強毒ウイルスで攻撃後, 眼, 鼻腔内及び扁桃の粘液からウイルスの分離を行った結果, 筋注群ではいずれの豚からも全くウイルスは検出されなかったが, 皮下注群では4頭から攻撃後3~9日間, ウイルスの排出がみられた. 以上の結果から, 本ワクチンの強毒ウイルスに対する予防効果は投与方法により大きく異なり, 筋肉内投与法は発病阻止効果のあることが明らかにされた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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