Journal of Veterinary Medical Science
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4種類の異なるアジュバントに対するモルモット及びラットの局所反応の病理学的観察
山中 盛正平松 計久平原 正岡部 達二中井 正久佐々木 文存後藤 紀久
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1992 年 54 巻 4 号 p. 685-692

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抄録

3種類のオイルアジュバント(ISA-70, フロインド不完全アジュバント(FIA), フロイジド完全アジュバント(FCA))及びリン酸アルミニウムゲル(APG)をモルモットとラットに筋肉内注射し, 注射部位の病理学的変化を比較検討した. 肉眼的に, ISA-70乳剤注射モルモットでは, 注射後2~8週目に注射部位皮下組織の部分的肥厚と筋間結合組織の変色, 所属リンパ節の腫脹が認められた. FIAではISA-70とほぼ同質の変化を示したが, FCAでは2週目以降注射部位の著明な腫脹と硬結が観察された. また, APGでは筋肉内に限局して変色病変が認められた. 組織学的に, オイルアジュバントでは, 72時間目には急性炎症反応が認められ, その後4週目をピークに, オイルシスト形成, マクロファージ, 類上皮細胞の集簇及び線維化が観察された. これらの変化は, モルモット, ラットともほぼ同様で, ISA-70では他のアジュバントに比べ軽度で, 短期間に消退する傾向を示した. ニューカッスル病(ND)ウイルス抗原を含む各アジュバント材料注射例では, 上記変化に加えて著明な小円形細胞(形質細胞, リンパ球)浸潤が認められた. また, ND赤血球凝集抑制抗体は, ISA-70注射例では, FIA注射例とほぼ同様の高い抗体価の推移を示した.

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© 社団法人 日本獣医学会
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